2012年9月20日木曜日

50人が集まった日本鳥学会大会・自由集会

100周年を迎えた日本鳥学会の記念大会に、久しぶりに当会主催で自由集会を持ちました。

「都市鳥研究の現在とこれから」という、ややおとなしめのタイトルでしたが、大会最終日の夜(17日)にも関わらず、会場いっぱいの50人が集まり、意見交換がなされました。

話題提供として、「首都圏の都市におけるムクドリの塒の状況」が副代表の越川重治さんから、「全国の大都市におけるカラスの塒の状況」が新任幹事の柴田佳秀さんから、そして、「東京におけるタカ類の生息状況」が代表の川内博さんから報告され、それぞれについて、現状分析と今後のことについて討議され、会場から意見や情報が出されました。

また、そのほか、ブログでも話題となっている「イソヒヨドリの内陸部進出」の全国調査への発展、「スズメの現状」についての独自の調査・研究、「駅」に着目した都市鳥研究会ならではの調査展開など、興味深い研究提案が会場からなされました。

今年度は、現在までにすでに2ケタの新入会員をゲット! 「都市鳥研究のこれから」は新たな展望が見えてきました。




2012年9月11日火曜日

北海道のダムでもイソヒヨドリが繁殖

柴田佳秀さんが201253日付で報告された「イソヒヨドリの内陸ダムサイトのデータ」で、「北海道をのぞく全国でイソヒヨドリが見られていることがわかった・・・」と報告されています。また「進出はほぼ同時多発的に起きていることもこのデータからうかがえます」とのこと。しかし、北海道のダムでもイソヒヨドリが繁殖しています。

札幌市街地から南方向30㎞の豊平峡(ほうへいきょう)ダムで、2005年からイソヒヨドリを確認し8年目になります。2004年春から豊平峡ダムの鳥を見るようになり、イソヒヨドリの初目撃は2005422でした。毎年1ペア(20082ペア)が渡来し、のソングポストでの囀り、の巣材運び、巣らしきところへの餌運び、幼鳥の出現などを目撃しており、繁殖しているようです。8年間の目撃期間は、416日~710日でした。雪解けが遅いので、本州に比べると渡来時期は遅いと思います。豊平峡ダムは、1972年竣工の古いダムで、一番近い日本海から25㎞地点になります。

イソヒヨドリの過去の記録は、石狩鳥報(石狩鳥類研究会:代表樋口孝城氏)が記録を取り始めた1995年から内陸(豊平峡ダムの下流)での目撃情報がありました。その頃、イソヒヨドリが話題になっていたのを記憶しています。実際、私も豊平峡ダムの下流の河川で4月と8月に目撃しました(1998年)。

今となっては、ダムの繁殖個体だったのかどうかなど分かるはずもありませんが、参考になればと思い報告させていただきます。
(早川いくこ)

イソヒヨドリ♂2007.06.08豊平峡ダム

2012年9月10日月曜日

カラスシンポジウムのご紹介

紫外線カットのゴミ袋の開発などで有名な宇都宮大学主催のカラスシンポジウムが開催されるとの案内がありました。

平成24年11月17日(土)10時から
宇都宮大学峰キャンパス大学会館2階
主催:平成23年度基盤研究(A)「カラスの感染伝播と飛翔軌跡の解析(研究代表者 杉田昭栄)
共催:野生生物保護学会

このカラスシンポは、農作物の被害対策だけでなく、動物の学習や行動を研究する対象など、あらゆる分野のカラスの研究をおこなっている方々が集まるそうで、「カラスのすべてを語ろう」と銘打って丸一日かけてカラスを語り尽くすと言うことです。

とかく一面だけでカラスを見つめがちですが、多方面からのアプローチを知ることによって、また新たな発見や気づきが生まれるのではないかと期待できそうです。
(柴田佳秀) 

2012年9月8日土曜日

中央高速上り線談合坂SAのツバメ塒追加情報

8月26日付「都市鳥最新情報」に中央道談合坂SA上り線(山梨県上野原市)のツバメの塒の記事が出ましたが、ここは私の観察エリア内にあり、高速を利用せずに観察できるため、あわせて周囲のツバメの生息状況も観察しています。

私がこのSAの塒を観察しはじめたのは昨年からですが、昨シーズンは2回、今シーズンは4回観察(夕方と早朝の2回づつ)しています。以下、簡単ですが、その観察結果の概要です。

1.ツバメが就塒のためSAに多数飛来しはじめるのは、晴天の場合、ほぼ日の入り時間から始まり、その後、約30分でだいたい落ち着く。

2.ツバメが就塒に利用しているのは、街路樹のケヤキ(上野原市の市木)で、最大15本が利用されていた。

3.就塒木の核となる木が3本あり、ツバメの就塒前にスズメが先に塒入りしていて、この木を中心にツバメが塒入りしていく。

4.SA内で就塒しているツバメの数は、私の試算では2,000から3000羽程度

5.就塒後も、何かをきっかけに、多数が飛びまわることもあるが、サギの冬塒のように一度に全羽が飛んでしまうことはなかった。

6.出塒は、天文薄明が始まる前にすでに出ていくものもあり、星空高くから鳴き声が聞
こえる。


7.出塒のピークはサンプル数が少ない(2回)が、晴天の場合、日出時間の約25から20分前で、出塒方向は南に向かうものが大多数。

8.出塒後、南方約1kmに位置する大野貯水池のある上野原市大目集落では300羽前後の「出塒後集合」が見られるが、時間の経過とともにツバメは分散していく(ここでは夕方、「就塒前集合」も見られる)。その他、上野原市内には、50羽から300羽くらいの「就塒前集合」の場所が複数あり。

9.イワツバメ、ショウドウツバメの観察記録もあるようだが、SAエリア内では私は観察していない。

晴天の場合、日入後15分から25分経過したくらいが、ツバメの群飛のピークで、なかなか壮観です。8月から9月上旬にかけて、中央道を利用される方は、是非一度ご覧いただければと思います。 東京方面は夏休み中の夕方は、ここから先が必ず渋滞しているので、ここでツバメを観察しながら休憩して、ツバメが落ち着いた頃出発すると、渋滞が解消しているかもしれません。
(朝比奈邦路)

観察日:2011.8.23()9.12 () 2012.8.10(),8.16(),8.21(),8.22()

SA内で就塒中のツバメ、後方はSAのガソリンスタンド。(2012.8.21 04:05撮影)


2012年9月5日水曜日

「ツバメの蚊柱」・東京・清瀬市で

 東京の郊外・清瀬市では、8月に入ると下清戸3丁目の約2万㎡農地で「ひまわりフェステバル」が開催されます。毎年数万人がこの地を訪れて、清瀬の夏の「農ある風景」を楽しんでいます。今年も818日から31日まで開催されましたが、フェステバル終了後見晴らし台も閉鎖され、今では人影もない何時もの穏やかな農作地の風景が広がっています。
  92日、9時「ヒマワリとカワラヒワ」のショットを求めてヒマワリ畑に出かけました。ヒマワリは、この畑の所有者が毎年小麦を生産した後、畑の緑肥とするために栽培しているもので、フェステバルが終わるとヒマワリは刈り取られ、トラクターによって畑に漉き込まれます。私が行った時には既にトラクターが遠くで盛んに動いていました。
 さて、目当てのカワラヒワの姿は無く、上空を見上げて驚きました。「ツバメの蚊柱」です。蚊柱が横に広がっているように、トラクタが動いている当たりの上空にはおびただしい数のツバメの集団が飛び回っていました。どの位の数なのか、数えるのをあきらめて眺めているだけでした。日頃見かけない光景です。トラクタの動きに攪乱され舞い上がって来る昆虫を上空で待ち受けて捕食しているのでしょうが、このツバメは何処から来たのでしょうか。
 8月半ばを過ぎると、市内の柳瀬川調節池のツバメも、ここヒマワリ畑のツバメも一挙に数が減ります。従ってヒマワリ畑上空の集団が、この地域に密着して生活しているツバメだけとは思われません。おそらく移動中のツバメも多く含まれているのでしょう。ピンポイントのスポットでもそこに餌があれば目敏く見つけ、食いつなぎながら移動するツバメの生活の一端を知る思いがしました。
 トラクタが動きを止めると間もなく、ツバメの蚊柱はスーと消えました。あれほどいたツバメが上空からみごとに消えました。先を急ぐ身、餌の無いところに長居は出来ない・・・、状況の変化による適応の早さは、個体や種を維持するためには必須の条件なのでしょうが、慌ただしく集団が去った後、刈り残されたヒマワリ畑の上を何時ものように飛び回っている10数羽の地元のツバメ(?)に妙な親近感を覚えました。
(青木秀武)