2015年11月24日火曜日

関西地方のムクドリの「駅前ねぐら」を訪ねて  姫路駅前(兵庫県)/新大宮駅前(奈良県)

917日(木)夕方5時きっかりに、姫路城が正面に見える大手前通り〔写真1〕の街路樹のあちこちで、“ジャー・ジャー”という人工的な大きな音が響き出しました。
JR姫路駅からお城へまっすぐ延びたこの大通りに、夏から秋にできるムクドリの集団ねぐらをめぐって、2007年、“全国ムクドリサミットin 姫路”が開催されました。住民からのムクドリねぐらに対しての苦情に困った、全国の自治体関係者が集まっての鳩首だったようです。
マスコミ報道によると、大手前通りにねぐらができたのは1980年代後半のようで、それ以来の悩みの種とか。今年の5月にある新聞社から電話取材があり、その時、姫路でのムクドリ問題解決に“新兵器”が使われ、けっこう効果をあげている話を聞いていたので、神戸での日本鳥学会大会参加を機に訪ねてみました。
薄暗くなっても、大手前通りにはムクドリはいませんし、たまに小群が飛んできても、街路樹には止まらず、駅方向へ方向転換していきます。確かに新兵器はムクドリが嫌うと思われる音を出して、効果を発揮していました。しかし、駅の反対側の出口のロータリーへ行ってみると、ホテル前の街路樹でムクドリが鳴き騒いでしました。結局、彼らは嫌な音がする場所を避けて、ねぐら場所を変えただけのようでした。〔写真2〕

923日(水)イソヒヨドリ調査を終えて、近鉄奈良線・新大宮駅前についたのは午後520分。一昨年、この一帯や近鉄奈良駅前で、街路樹が丸太状に切られ、マスコミの話題になった現場を初めて見ました。2年を経て、切り口からは若枝が出ていて、事情を知らなければ、変わった形の街路樹とも見える状態になっていました。
5時半、300羽程度の群れが旋回、10分後には大群が乱舞状態となり、辺りが薄暗くなった6時前には、踏切を挟んだ道の両側の電線に、目測4000羽がずらりと止まり、騒ぎ続けていました〔写真3〕。 7時前に近鉄奈良駅前に行ってようすをみましたが、こちらは飛来していないようでした。

 全国各地の駅前などで社会問題となっている「ムクドリの集団ねぐら問題」は、今のところ解決策がないのが実情。姫路のメイン通りからムクドリを一掃したという実績を持つ“新兵器”も、奈良市民からみっともないと批判を受けるほどの街路樹の伐採も、残念ながら「にぎやかな場所がいい」というムクドリたちの強い嗜好には決定打とはならなかったようです。

 なぜそんな環境をムクドリが好むのか、こちらも残念ながら、研究者は明快な答えを出せないでいます。
川内 博)

写真1


写真2

写真3


2015年11月2日月曜日

第7 回東京都心のカラスの個体数調査(2015) 調査参加者を募集します

 都市鳥研究会(川内博代表)では、1985 年の第1 回調査以来5 年ごとに「東京都心のカラスの集団ねぐらで個体数調査」を実施してきました。今年12 月には第7 回の調査を予定しています。明治神宮(渋谷区)、自然教育園(港区)、豊島ケ岡墓地(文京区)の3 カ所のねぐらに夕方集まってくるカラスの羽数を人海戦術でカウントします。

 これまでの調査では、1985 年に6727 羽、2000 年には18664 羽に急増、その後は減少に転じ、2010年には7728 羽でした(右図)。第7 回調査ではさらに減少して30 年前の水準に戻るのか、前回と変わらないのか、あるいは再び増加傾向に転じるのか、興味あるところです。総勢約60 人の調査員で下記のように実施予定です。ふるってご参加いただきたくご案内いたします。


(1)実施予定日 12 月19 日(土)、12 月20 日(日)、26 日(予備日) 13 時(集合)~17 時(解散)
天候や参加者人数によっては12 月19 日のみで終了する場合もあります。

➀下記の事項を記し、唐沢宛メールaab87211@pop13.odn.ne.jp に申込みください。
「氏名」「住所」「電話番号」「参加可能な月日→12/19、12/20 」

②参加資格は特にありません。会員外でも参加できます。
ただし、準備の都合上、事前に参加登録をお願いします。

③申込みの締切り先着60 名とさせていただきます。

(3)調査はすべてボランティアで行います。交通費や日当は支給されません。
(ただし、高校生については交通費の補助があります)
また、参加者の保険はかけていませんので、万一場合は各自のご負担でお願いします。

(4)調査の方法
2 人一組で、分担する区域を通過するカラスの数を数えて記録します。
参加登録をされた方には、後日、調査方法や集合場所、調査の情報等をお知らせします。

(5)その他
参加者には、調査結果をまとめた会報Urban Birds 1 冊を贈呈します。
調査関係の諸連絡はすべてメールで行います。以上、ご案内致します。

2015 年10 月30 日
調査責任者 唐沢孝一(272-0035 市川市新田3-20-12)