2017年12月15日金曜日

コアジサシの屋上コロニー“最強”のカラス対策は ―コアジサシも都市鳥の仲間入りか―

12月9日、東京の大田区民ホール・アプリコで開かれた「2017年リトルターン・プロジェクト コアジサシ講演会」に参加しました。リトルターン・プロジェクト(LTP)の活動の始まりは2001(平成13)年6月に大田区の森ケ崎水再生センター施設の屋上で営巣活動が発見された時から。2011年に同会から発行された『リトルターン・プロジェクト 10年の歩み』によると初めての年の総営巣数は89巣・総孵化数は5羽とのこと。【写真は別の場所で繁殖したコアジサシの幼鳥】

絶滅が心配されているコアジサシが「ビルの屋上で繁殖」とのことで、その保護・存続に活発な活動が続けられ、ここ4年は1000羽以上の孵化数を維持しているようです。今年は密集して営巣したために、カラスによる卵の捕食が少なかったとのこと〔同会発行の『こあじ冊子』Vol.34による〕。

コアジサシの天敵カラスへの対策は難問中の難問。そこで、カラスの専門家・松原 始さんを招いて、「カラスに負けるな!コアジサシ!」というタイトルで講演会が開かれました。
ところで松原さんの講演のタイトルは「カラス屋はカラスに勝てるか」というもので、さまざま対策を施しても、カラスになかなか勝てない現実を語られました。

しかし、講演最後の質疑応答のなかで、フロアーからすばらしい提案がありました。松原さんの話では、対策の最強のものは“営巣地にいつも人がいること”とのこと。それならば、最近はリタイア―して写真を趣味にしている人が多い。そんな方に、撮影がてらに見回ってもらったらという提案で、関係者も検討してみるとの反応でした。

カラスの天敵・人の存在で繁殖が有利になるということになれば正に「ツバメ型繁殖」そのもの。“ビルの屋上で営巣”というだけで都市鳥的なのに、ついにコアジサシも都市鳥の仲間入りをしそうな情勢でした。(川内博)