10月1日、高知県高知市へ取材に行ったときのことです。夕方、市の中心部を歩いていると、有名な「はりまや橋」の近くで、同じ方向に飛んでいくムクドリの群れに出会いました。次々と現れる群れの様子から、「これは近くにねぐらがあるな」と直感。すぐに追跡を始めました。
| この2本のクスノキにムクドリが集結 |
するとほどなく、少し離れた場所のクスノキ並木に、ムクドリたちが次々と集まっていくのを発見。そこがねぐらでした。木の下から観察すると、その数はおそらく千羽以上。鳴き声の大合唱もなかなかの迫力で、ほかの都市のムクドリねぐらと同じように、街の夕暮れをにぎやかにしていました。
| 白く点々と見えるムクドリ |
双眼鏡で詳しく見ていると、群れの中にやけに白っぽい鳥が混じっていることに気づきました。よく見ると、それはコムクドリ。しかも数羽どころではなく、かなりの数がいるようです。コムクドリのねぐらを見るのは初めてだったので驚きと感動の瞬間でした。九州の宮崎には9月になると6万羽のコムクドリのねぐらがあることを昨年の鳥学会の発表で知っていたのですが、まさか四国の高知でも見られるとは思ってもいませんでした。
| コムクドリ |
翌朝は日の出少し前にねぐらを訪ねました。すると既にクスノキから出ていて、電線にずらっと並んでいるではありませんか。なかなか壮観な光景です。よく見ると、ムクドリとコムクドリは種ごとに集まる傾向がある感じでした。コムクドリはおそらく全体の1~2割、いやもっといるかもしれません。正確な数を知りたいところですが、このときはカウントの準備をしていなかったのでわかりませんでした。その後、鳥たちは数回にわたって群れとなって採食地へと飛び立っていきました。
後日、地元の野鳥に詳しい人に聞いたのですが、このムクドリねぐらにコムクドリが入ってるのは知られていないとのこと。本州で繁殖したコムクドリは、九州を経由してフィリピンなどへ渡ることが分かっていますが、もしかするとその途中で四国にも立ち寄っているのかもしれません。今回の観察は、その可能性を示す貴重な事例となりそうです。今後も注意深く観察を続けていきたいと思います。(柴田佳秀)
| 早朝、電線に並んでとまる様子 |
| 下段のやや小型がコムクドリ |
| ねぐらにあったハヤブサの模型 あまり効果がない様子でした |