2024年2月2日金曜日

柏駅ビルのドバト

駅ビルには、よくドバトがいます。テラスや隙間などがたくさんある大きなビルは、本来の生息地にある自然の崖と同じような構造のため、繁殖や寝る場所として利用しているのでしょう。私がよく利用するJR常磐線柏駅の駅ビルにも、数十羽のドバトがいて、ひさしにずらっと並ぶ光景が見られます。

駅ビルにドバトがいるもう一つの理由として、給餌があります。お客さんを待つタクシーのドライバーさんがドバトに餌をやる姿は、一昔前にはよく見られた光景でした。ところが、何年か前から、柏駅前ではそんな光景がすっかり見られなくなり、駅ビルにいるドバトは、だんだんいなくなるのではと予想していたのです。

現在はそれから数年は経過しましたが、予想に反して、駅前のドバトはいっこうに減ることはなく、むしろ増えているのではないかと思えるくらいになりました。それと同時に、この鳥たちは、いったいどこで食べものを得ているのだろうと疑問が生じたのです。

駅ビルにすむドバトの行動を観察していると、数羽の小集団となってどこかへ飛び去る様子が見られます。おそらく食べものを求めて出かけているのでしょう。駅から2kmほど離れたところに小河川が流れているのですが、そこでドバトを見るようになったのもだいたい数年前からです。そこでは、地面に落ちている種子を丹念に探している姿を毎日のように見ます。要するに自然にある食べものを探して得ているのです。

標識や発信器をつけて追跡したのではないので、このハトたちが駅ビルの個体とはいえませんが、その可能性高いと思っています。給餌がなくても、しっかりと自分たちの力で生き抜いているのでしょう。

ドバトの原種であるカワラバトは、ねぐらや繁殖場所となる崖と食べものの種子がある採食場所を毎日、往復して暮らしていました。その習性を利用して伝書鳩が作られたのですが、駅ビルにいるドバトたちは、現在でもまったく同じような暮らしをしてるのだなと思いました。(柴田佳秀)

柏駅ビルのドバト

河川敷でムクドリと採食する