2021年1月28日木曜日

東京都心部のオオタカの新繁殖地・新宿御苑

 “外国人が好む日本の公園”として知られている「新宿御苑」。交通の便がいいのと、広々とした芝生地があり、四季折々の花と緑、日本庭園・イギリス風の庭・フランス式の庭園、台湾閣など見どころいっぱいで、コロナ禍以前は、各国のことばが入り混じる国際色豊かな緑地でした。今は「緊急事態宣言」を受けて休園中ですが、その園内であることがひそかに進行していることが予想されます。それはオオタカの“古巣の補修”

  昨年初めてここでオオタカの営巣が発見され、1羽のヒナが無事巣立っていきました。【写真:雄から餌をプレゼントされたオオタカの雌】 その報告は、近日発行の当会会誌『URBAN BIRDS』Vol.37に掲載されます。真冬ですが、来るべき繁殖の準備は始まっています。


「オオタカ」は自然保護・環境保全のシンボル的な猛禽としてよく知られたタカで、以前は環境省のレッドリストにリストアップされていましたが、生息数が増えたということで2017(平成29)年に保護指定が解除されました。

 東京都内では、かつては郊外の多摩地区や山地の奥多摩地区でその生息と繁殖が少数知られていましたが、最近は、東京でももっとも都市化された「23区」内で両手に余る営巣地が知られています。その多くは“知る人ぞ知る”状態ですが、皇居・明治神宮・自然教育園の3か所は繁殖地として公表されています。今回の報告で新宿御苑も加わります。

  園内での営巣は継続される可能性が高いと考えています。「都市鳥・オオタカ」が誕生している実態を、今後も追跡していきたいと思っています。〔川内 博〕   

     


2021年1月23日土曜日

企画展「小石川植物園の野鳥」へ行こう 1月5日~3月31日

東京23区には江戸時代由来の庭園が点在しています。なかでも文京区には、江戸時代の大名屋敷に由来する緑地がいくつもあります。小石川後楽園や六義園、肥後細川庭園などで、そのようすを空から見ると、まるでコンクリートの海に浮かぶ緑の島のように見え「緑島(りょくとう)」と呼ばれています。

  今回ご案内する「小石川植物園」もそのひとつですが、その成り立ちがちょっと違っています。緑島の多くは大名屋敷の庭園で、池を中心に、土地の起伏を生かし、築山を築いて、・・・というのが一般的ですが、小石川植物園は「小石川御薬園」がそのはじめ。明治時代以降は東京大学理学部付属の植物園として今に至っています。そのため管理の方法が「造園」ではありません。景観もまったく違っています。

 今回、この地で写真を撮り続けている井上裕由さん(都市鳥研究会会員)の野鳥作品を使っての企画展【ポスター】に登場する鳥のなかには〝大都会の真ん中にこんなのがいるの!?〟と驚くような希少種も混じっています。薬草園のほかに、湧水が流れ込む大小の池、広い芝生地、斜面に広がる森などが103種もの野鳥(井上さん調べ)の観察を可能にする自然豊かな「緑島」を構成しています。「東京の都市鳥」、けっこう幅が広そうです。〔川内 博〕

〔展示期間〕2021年1月5日(火)~3月31日(水)  〔場所〕小石川植物園(東京大学付属植物園)・柴田記念館 10時半~16時<月曜・木曜日休館> 入館料無料(植物園の入園料は必要)