2024年3月28日木曜日

コサギの駅前ねぐら

サギ類は、何羽もの個体が集まって水辺などでねぐらを作る習性が知られています。先日、知人から神奈川県内の駅前にコサギのねぐらがあると教えていただき、見てきました。

ねぐらの場所は、駅のホームのすぐ脇にある樹木で、樹種はセンダンとトウネズミモチでした。この樹木のすぐ隣にはホームを貫くように小河川が流れていて、その川に覆い被さるように生えています。

日没15分前の午後5時15分には、一羽のコサギがこの樹木にとまり、ねぐら入りを開始。その後は約30分にわたって次々とコサギが飛来し、この日は54羽のコサギがここで夜を過ごしました。この光景はホームからとてもよく見え、まるで樹木に白い花が咲いたような感じです。当然のことながら、ホームにいる乗客もこの光景に気がつく人がいて、ちょっと驚いた様子も見られました。しかし、慌ただしい夕方の時間のためか、気がつかないで通り過ぎる人も多く、この無関心さがねぐらの安全を保障しているのかもしれません。

また、樹木がある場所は人の立ち入りができない場所であり、樹木の下は川が流れ、高さも数mはあるため、天敵が近づけない環境でした。そういった点でも、コサギは良い場所にねぐらを見つけたと思います。

さて、このねぐらはいつからあるか気になるところです。近くに常駐していた警備員の方に聞いたところ、1年前にはなったので、今年に入ってからではないかという話でした。その後、私の知人にこの駅を利用している人がいることが判明し、その人の話では2024年1月1日にはねぐらがあったことを確認しているそうです。

おそらくこのねぐらは、コサギの冬だけの利用だと思われるので、そろそろいなくなっているかも知れません。その後、どうなるか継続的に観察してみたいと思います。(柴田佳秀)

頭を体にいれ眠るコサギ

ホームから見たねぐら




2024年3月5日火曜日

内陸部のイソヒヨドリの繁殖生態解明にご協力を

東京・府中市多摩川の左岸の河原を踏査中、河口から約30㎞の是政橋に差しかかると“モズの物真似鳴き”のようなぐぜり声が聞こえてきました。声の主は橋脚の陰に隠れて見えないのでしばらく待っていると奥から出てきました。イソヒヨドリの雄でした【写真上】。のど元が小刻みに震えて、小さな声で囀っていました。3月3日の日曜日朝、ランニングする大学生グループ、ジョギングする年配者、散歩する夫婦がすぐ下を通り過ぎていきます【写真下】。このイソヒヨドリ君にとってはいつもの風景のようで警戒のそぶりはありません。カメラをもって近づくと反応し、うす暗がりの奥へ引っ込むこともありましたが、少し待つとまた縁へと出てきて小声で囀っていました。  

都市鳥研究会ではイソヒヨドリの内陸部進出の意味を調べています。「生息情報」は全国各地から寄せられていますが、「繁殖・営巣情報」はなかなか集まりません。実際この鳥の繁殖期の動きをみていると、「このあたり・この建物で営巣しているようだ」というところまでは明らかにできますが、「巣がどこにある・どんな子育てをしている」ということになると追えない・調べられないことがほとんどです。

“磯にへばりついていた鳥”が市街地や郊外、山間部でというような内陸部で観察される状況が全国的に見られています。何らかの意味があることは確かでしょうが今のところは謎です。繁殖生態の解明にご協力ください。〔都市鳥研究会〕