2023年11月23日木曜日

“迷惑鳥”イソヒヨドリ

 昨日当会のメールボックスに「初めてメールします。イソヒヨドリのことを調べていたらこちらに辿りつきました」という奈良県在住の方からの相談が届いていました。文面は「最近イソヒヨドリが家の軒先でねぐらをとるようになった。とくに悪さはしないが、このままでは繁殖期に営巣するのではないかと心配。」そのわけは“鳥が大の苦手”でイソヒヨドリに出てってもらうにはどうすればいいかという内容でした。  

最近市街地に定着した鳥で、“幸福の青い鳥・美声の持ち主”と歓迎の声が多い鳥で、何という鳥かという質問はよくきますが、“困っている”というメールは初めてでした。しかし、当会に相談は来ていませんが、“迷惑”という話もよく聞きます。一番多いのは「自宅のマンション屋上で早朝から大きな声で鳴いてうるさい!」といったものです。次に多いのは餌をねだるなど「図々しい態度」といった行動面です。

この鳥の食性は幅広く、昆虫やトカゲ・ムカデ【写真上:餌を持ってきた雄親】などの小動物から木の実などの植物質のもの、パンやミールワームなど人が与えるもの、果てはごみ箱漁りなどもするという“悪食”の鳥〔本ブログ:2016年2月17日付〕。また、人家での営巣も知られています〔本ブログ:2015年5月13日付・当会広報誌『都市鳥ニュース』№31〕。さらに、給餌などをすると人なれし、餌を要求するような態度も取ります〔本ブログ:2015年5月14日付〕。 

“見た目と囀りが美しい”新参者の都市鳥で、繁殖記録も増えています【写真下:巣立ちビ】。ただ観察を続けていると“ちょっと心配な面”もある“海辺生まれ”の鳥ですので、今後の都市生態系にどんな影響があるか興味深いところです。〔都市鳥研究会・川内博〕







2023年11月11日土曜日

2023年秋・東京都心の緑島を通過していく鳥たち

今夏の酷暑のせいか、私がホームグラウンドとしているJR山手線内側の東京都心のフィールドでは、今年の「秋の渡り」において例年と比較して幾つかの異変が感じられました。

先ずは渡りの開始時期がずれ込んだことです。例年であれば8月中旬位からツツドリ【写真1】・ムシクイ類・キビタキ・サンコウチョウなどが順次観察されるのですが、今季は8月中の観察は皆無でした。9月に入るとともにムシクイ類が通過しはじめ、中旬にはツツドリ・キビタキ・サンコウチョウなどが通過、9月29日にはヤブサメ【写真2】も見られました。これを種別に纏めてみると、ムシクイ類では10日、トケン類では20日、サンコウチョウでは20日、キビタキ・ヤブサメは1カ月の遅れが確認されました。また、キビタキ・コサメビタキ・エゾビタキ・サンコウチョウなどのヒタキ系の通過個体数は減少が感じられました。  

渡りの中盤以降では、逆に例年よりも早く観察されるケースが見られました。例年は10月下旬頃から順次観察される冬鳥ですが、10月11日にはアオジがみられ、17日にはジョウビタキ、27日にはトラツグミが観察されました。アオジ・ジョウビタキにおいては約半月、トラツグミでは1カ月ほど早い飛来でした。

今夏のような高温が繰り返すような場合、鳥類への影響は計り知れないダメージとなるかも知れず、全国的な調査が待たれるところです。〔井上裕由〕

写真1 ツツドリ

写真1 ヤブサメ