2021年7月15日木曜日

おもしろいカラスの行動2つ・東京・代々木公園

   最近オリンピックがらみで何かと話題に登場する東京・渋谷の代々木公園で、この6月にカラスに関わる2つの行動を見かけました。東京都内からはカラスの数は減っていますが、代々木公園は今も都内有数の“カラス天国”です。我が物顔に飛びまわっているのはハシブトガラスですが、以前はごく少数だったハシボソガラスも目立つようになってきました。  

  今回の主役はハシブトガラスで、1つは「なに?・これ!」というカラスのしぐさです【写真1】。この姿をみてまずイメージしたのは、写真や映像でみたことのあるアフリカのクロコサギ Egretta ardesiaca の特異の行動と、実際見たことのある「蟻浴」でした。「蟻浴」とは明らかに動きが違い、また、羽・周辺にアリの存在はありませんでした。

  そこで、日ごろ野外で鳥の観察をしている知人多数に「こんなカラスは見たことありますか?」と発信したところ、10人の方から返信があり、いずれも「見たことがない」ということでした、「蟻浴・日光浴ではないか」・「クロコサギのそれを想起する」ということが多数で、この行為自体はあまり見られていないことがわかりました。

 1回だけの観察ですので、この個体特有の「くせ」ではないかと再調査をしていたら、「なんで!?」という行動を見かけました【写真2】。“モグラの土盛りの中からコンクリートのかけらを掘り出し、咥えて別の場所に運び、上から落ち葉で完全に隠す”という行動で、コンクリート片はカラスに比べて大きく・重そうで、何のために?という疑問を持ちました。北海道でカラスを研究している会員からは「遊び」ではという示唆がありました。可能性は大だと思いますが、その動作は手慣れてスムーズなものでした。

 2つの行動について、同じような観察をされた方・なんらかの「答え」をお持ちの方・興味をお持ちの方は、都市鳥研究会あてにご連絡ください。(川内 博)


写真1


写真2

2021年7月9日金曜日

都市鳥ニュース「首都圏のイソヒヨドリの今・その1」を発行

毎年2回発行している『都市鳥ニュース』の本年1号の「№30」を発行しました。内容は、首都圏のイソヒヨドリの動向の紹介で、東京・多摩地区での状況、千葉県・神奈川県の近況で、いずれも以前に比べ、生息・繁殖の観察頻度が格段に増していることがわかります。

東京郊外の中核市「八王子市一帯」での営巣地は増加が続いていて、JR中央線・京王線などの鉄路伝いに分布を広げていると思われる状況が目立っています。また、上記以外の多摩地区でのまとまった初めての報告「多摩地域のイソヒヨドリ-東京内陸部での増加-」が掲載されています【写真】。 その生息・繁殖の広がりは線から面になっていて、近いうちに関西圏のように「準・普通種」(数は少ないが、気をつければ見られることがある)レベルになる可能性が示唆されています。

 同じ傾向は、関東でのイソヒヨドリ先進県・神奈川でも同様で、面的な広がりが報告されています。千葉県では、内陸部の目撃は2010年代に入って急激に増え、2020年代には倍増しています。

今号は12ページの予定でしたが、4ページ増やしても足りないくらいで、東京23区・埼玉県の状況は次号送りとなりました。次の発行は12月の予定です。  『都市鳥ニュース』は当会の広報誌となっていますので、入手をご希望の方にはPDF版をメールでお贈りしています。お申し込みは下記へお願いします。〔事務局〕 

Email:hkawachi2dream@yahoo.co.jp


アンテナにとまるイソヒヨドリの雄(鈴木遼太郎氏撮影)