2023年5月28日日曜日

柏の葉スマートシティの鳥がおもしろい

2005年に開業した東京・秋葉原から茨城・つくば市を結ぶ鉄道のつくばエクスプレス。そのちょうど中間くらいに位置する千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅の周辺は、元は広大なゴルフ場を開発し新たにつくられた街です。タワーマンションが建ち並び、大型商業施設や大学など、公・民・学が共同して街づくりに取り組む先進的な街で、柏の葉スマートシティとして注目されている場所でもあります。

その先進的な街である柏の葉。いっけん鳥とは無縁とも思える環境ですが、街が誕生すると思いがけない鳥たちが暮らし始め、目が離せない場所となっています。

たとえば駅前ロータリにある街路樹。ここにムクドリやスズメのねぐらができました。そのムクドリたちを狙って、今度はハヤブサが現れるようになりました。ときどきタワーマンションの壁に止まって、ねぐらに入る鳥たちを狙っています。

つくばエクスプレスの高架下にはイワツバメが営巣しています。そのイワツバメが営巣をはじめ、しばらくしたら今度はヒメアマツバメが現れ、イワツバメの巣を乗っ取りました。そのすぐ側の大型書店の軒にはツバメが複数営巣しています。オープンテラスでコーヒーを飲みながら3種のツバメ類(ヒメアマツバメは厳密にはツバメ類ではありませんが)を観察できる場所は他にはあまりないように思えます。

都市進出して久しいイソヒヨドリも、柏の葉には複数が繁殖しています。おそらくこの地域では一番最初に定着した場所で、一年中姿を見ることができる上、オープンテラスにいるとエサをねだりに来ることも。

人の暮らしやすさを追求した街が、都市鳥の格好の生息地となる。なかなかおもしろい場所としてこれからも観察を続けていくつもりです。(柴田佳秀)

柏の葉スマートシティ


タワーマンションにいたハヤブサ

2023年5月14日日曜日

ミゾゴイの飛来とオオタカの子育てライブ・東京・港区・自然教育園の近況

 東京都心部には、皇居をはじめ、明治神宮、新宿御苑など10以上の緑島(りょくとう)が点在しています。JR目黒駅から近い自然教育園もそのひとつ。縄文中期からの歴史を誇る園内には池や湿地もあり、かつては都心部での「カワセミの繁殖地」として知られていたところです。

4月29日の夕方、閉園後の巡回をしていた職員の方が撮られた写真が送られてきてきました。夏鳥のミゾゴイ(溝五位)【写真上】で、園内では2014年12月に目撃されたのが初記録で、2017年4月には撮影もされています。今回は久しぶりの観察でその後の続報も期待したのですが、翌日来園者からの情報もなく、一夜限りだったようです。

緑島での観察は文京区の小石川植物園でもあり、2018年5月・2019年4月に記録されています。ミゾゴイは近年減少がいちじるしく、環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」、世界的にもIUCN(国際自然保護連合)で「絶滅危惧種」に指定されています。

この自然教育園では、6年前から園内でオオタカが繁殖していて、そのようすは巣の上に取りつけられたカメラで撮られ、園内の施設で見ることができます【写真下】。かつてはカワセミの子育てのライブも放映されていましたが、ここ数年来はオオタカの子育てライブが続いています。ただ“ライブ”(生中継)ですので、興味あるシーンを見るには、じっと待たなければなりませんので、時間がない方は隣のテレビでの昨年の子育てのようすのダイジェスト版をどうぞ。5月初めに孵った4羽のヒナは真っ白でまだ小さく、放映は1か月程度続く予定とのことです。〔都市鳥研究会〕

ミゾゴイ


園内のライブ映像モニター