2024年8月26日月曜日

千葉県北西部にガビチョウが進出

ガビチョウは、本来は中国南部や台湾、ベトナム北部などに分布する鳥ですが、飼い鳥が逃げ出す、あるいは放鳥によって、1980年代に北九州、1990年に山梨県で定着した外来種です(国立環境研究所)。そして、生態系に大きな影響を与えるとして特定外来生物に指定されている鳥でもあります。

ガビチョウが確認されている地域は、東北南部、関東甲信越、東海、四国、九州などで、その分布は拡大傾向にあるとされています。そして、関東地方では千葉県だけが分布の空白地帯とされていたのですが、2021年頃から千葉県成田市やいすみ市などで確認されるようになり、次第に空白地帯が埋められるようになってきています。

私が住む千葉県北西部、いわゆる東葛地区には、まだガビチョウが進入していなかったのですが、2024年4月に千葉県流山市でついに囀っている個体を確認(写真)。いよいよガビチョウが現れはじめました。その後、この地で継続的に観察している人の情報では、2023年11月には既にガビチョウの声を確認しているとのことなので、すでに昨年から進入してきていたのでしょう。

その後、注意深く観察をしていると、千葉県柏市こんぶくろ池の森でも囀っている個体が確認され、急速に分布を拡大している可能性が見られました。

ガビチョウは下草が良く茂る樹林地を好み、開けた場所には出てこない習性の鳥であるので、おそらく利根川の河畔林を伝って栃木県や茨城県から進入し、利根川と接続している利根運河の河畔林を通って東葛地区に入ったのではないかと考えています。なお、利根川河畔林では、2023年に我孫子市で観察したという情報があります。

最新の研究では、ガビチョウが鳥の卵を捕食することが明らかになっているので、在来種への影響が心配されます。今後の動向を注意深く観察する必要がありそうです。(柴田佳秀)