2025年11月29日土曜日

イソヒヨドリの新知見・神奈川県大磯での話

 11月下旬、都内で「都市に棲む鳥の害」に関した話をする機会がありました。美しく囀る幸福の青い鳥が“なぜ害鳥に”と思われる方が多いでしょう。その話は本ブログの2023年11月23日付で紹介した「マンションの屋上で、毎日大声で鳴く声でノイローゼになりそうだが何とかならないか」という当会への相談がもととなっています。メールされた方はイソヒヨドリの新名所・東京都八王子市にお住いの方ですが、いまのところ解決策がない難問です。

 当日お話をした後、会場で関係者の方からイソヒヨドリの近況について興味深い話を聞きしました。その場所は神奈川県大磯の海岸線から約600mの住宅地で、もっとも近い岩礁地帯からは約1.5㎞の場所。その内容は“近隣の3軒の新築の屋根だけ”でイソヒヨドリが止まって鳴くとのことでした。

写真1

写真1の2軒はご自宅の前に建つ家屋で、寄棟屋根や切妻屋根ではなく、箱型の構造のツインモノコック構造で、屋根は「片流れ屋根」。

写真2

写真2は自宅斜め前のお宅で(構造は不明)、こちらの屋根も「片流れ屋根」で、屋根の角(右側の一番高くなっている場所)でさえずっていたとのこと。なんだか平面の屋根が好きなような気がしますが、日ごろ気をつけて観察しているわけではないので、これからは周辺を歩くときには心がけて見てみますとのこと。

いずれの家屋でもさえずりが聞こえるときは、必ず、屋根の端で鳴いています(必ずしも写真2に示したようなコーナーであるとは限りません。写真1のお宅では屋根の端の中央部で鳴いていることもよくあります)が、これは自分の家から見やすいということもあるのかもしれないとのことでした。

  “磯にいる鵯のような鳥”が全国的に内陸に進出し、身近な場所でも見られています。どんな場所で繁殖しているのか・周りの鳥たちにどんな影響があるのか、ぜひ観察記録をお寄せください。(都市鳥研究会・川内)


2025年11月19日水曜日

首都圏・埼玉県入間市での40年間の鳥類の増減 ≪紹介≫

入間(いるま)市は埼玉県の南西部の加治丘陵に広がる自治体で、東は所沢市、西は飯能市、北は狭山市、南は東京都青梅市・瑞穂町と接していて、人口は14万余人。市域の10分の1が茶畑という“狭山茶”の生産地。この地で市域全域を500m四方のメッシュに区切り、205区の調査地で1984(昭和59)年から10年ごとに、1㎞歩いて見つけた鳥を記録する調査が、入間市鳥類分布調査 調査会・入間市環境経済部農業振興課によって実施されています。その2024年実施の報告書が都市鳥研究会事務局に贈られてきました。(『2024入間市鳥類分布調査報告書』・A4判149ページ)【表紙写真】

 実施目的は市全域の繁殖期の分布や個体数を知ることと環境写真を確保することとなっていています。報告書には、確認された91種の鳥ごとに、調査年〔1984・1994・2004・2014・2024年〕の記録数が書き込まれたメッシュ地図5枚が掲載されていて、その鳥の分布状態・個体数の変化がわかるようになっています。また、後半には「環境写真撮影区画」というページがあり、205メッシュの10年ごとの様子を知ることができます。ただ残念なことに報告書はモノクロ印刷ですので詳しくはわかりません。  

興味深いことばかりですが、「おもな種の出現個体数変化」というページを見ると①見られなくなった種にはゴイサギ・コサギ・イカルなどが挙げられ、2024年にはいずれも“0”となっています。②減少傾向の種ではカッコウ・イワツバメなどの夏鳥だけでなく、キセキレイ・セグロセキレイなどの留鳥のデータが目を引きます。③1984年から増加し2024年までに減少という鳥にはアオサギ・オオタカ・ハシブトガラスなどが記されて、逆に④1984年から減少したが2024年までに増加した種としてはホトトギス・モズ・ハシボソガラスなどの名前があります。この報告書内容と自分のフィールドと比較してみると、いろいろなヒントが得られるのではないでしょうか。

  いずれにしても、40年にわたって10年ごとの調査をし続けられたことと、それを整理し公表されたことに感謝します。〔都市鳥研究会事務局〕