入間(いるま)市は埼玉県の南西部の加治丘陵に広がる自治体で、東は所沢市、西は飯能市、北は狭山市、南は東京都青梅市・瑞穂町と接していて、人口は14万余人。市域の10分の1が茶畑という“狭山茶”の生産地。この地で市域全域を500m四方のメッシュに区切り、205区の調査地で1984(昭和59)年から10年ごとに、1㎞歩いて見つけた鳥を記録する調査が、入間市鳥類分布調査 調査会・入間市環境経済部農業振興課によって実施されています。その2024年実施の報告書が都市鳥研究会事務局に贈られてきました。(『2024入間市鳥類分布調査報告書』・A4判149ページ)【表紙写真】
実施目的は市全域の繁殖期の分布や個体数を知ることと環境写真を確保することとなっていています。報告書には、確認された91種の鳥ごとに、調査年〔1984・1994・2004・2014・2024年〕の記録数が書き込まれたメッシュ地図5枚が掲載されていて、その鳥の分布状態・個体数の変化がわかるようになっています。また、後半には「環境写真撮影区画」というページがあり、205メッシュの10年ごとの様子を知ることができます。ただ残念なことに報告書はモノクロ印刷ですので詳しくはわかりません。
興味深いことばかりですが、「おもな種の出現個体数変化」というページを見ると①見られなくなった種にはゴイサギ・コサギ・イカルなどが挙げられ、2024年にはいずれも“0”となっています。②減少傾向の種ではカッコウ・イワツバメなどの夏鳥だけでなく、キセキレイ・セグロセキレイなどの留鳥のデータが目を引きます。③1984年から増加し2024年までに減少という鳥にはアオサギ・オオタカ・ハシブトガラスなどが記されて、逆に④1984年から減少したが2024年までに増加した種としてはホトトギス・モズ・ハシボソガラスなどの名前があります。この報告書内容と自分のフィールドと比較してみると、いろいろなヒントが得られるのではないでしょうか。
いずれにしても、40年にわたって10年ごとの調査をし続けられたことと、それを整理し公表されたことに感謝します。〔都市鳥研究会事務局〕