2017年7月22日土曜日

自然教育園の鳥類 1980・1990・2010年代の比較まとまる

当会が東京都心のフィールドとして鳥相の研究している自然教育園〔港区、正式名・国立科学博物館附属自然教育園〕の第5弾の報告がまとまりました。今回のタイトルは「自然教育園における198019902010年代の鳥相とその推移」(自然教育園報告 48号:2546)。
このなかの2010年代のデータは、当会と日本野鳥の会東京で3年間実施した「調査探鳥会」の記録です。1980年代・1990年代のデータは、同園技官・千羽晋示氏と一緒に調査されていた坂本直樹氏の個人データです。同氏は千羽技官の指導のもとに、1980年~1993年までの14年間、ほぼ毎週のように日曜日に、園内でセンサスをされていました。
その全データを当会に提供いただきましたので、今回その一部を利用し、1980年代〔A〕・1990年代〔B〕・2010年代〔C〕の3つの期間での出現鳥種・個体数の比較を行いました。
その結果、①出現鳥種は16種程度であまり変わらない。ただし、その構成種は変化している。②出現個体数は、198090年代はほぼ同じだが、2010年代は、その3割減である〔グラフ〕。③森林性の鳥の増加・草原性の鳥の減少が明らかなどの成果が得られました。

詳しくは、下記の自然教育園のHPにアップされています。




2017年7月12日水曜日

埼玉・JR北朝霞駅前でヒメアツマツバメ

今年も関係する人には“嫌な季節”になってきました。ムクドリが“わざわざ”人通りの多い駅周辺や大型店舗の近く、役所や銀行街の通りなどに多数(数百~数千羽、ときに万単位)集まってねぐら(塒)をつくり、夜を過ごすために、その糞害・鳴声による騒音・換羽による不衛生などで、付近の店主や住人、通行人が不快な思いをするというものです。この問題は30年以上前から表面化していますが、いまだにその解決法はみつからない難問です。

住民や自治体は、さまざまな対策で問題解消を図っていますが、肝心のムクドリの大群は、いろいろな妨害にもめげず、初夏から初冬まで毎晩飛来し、なかなか解決しません。
当初、東京圏で多発し問題化しましたが、今では全国規模に広がっています。
当会では、このムクドリ問題を、今年9月に茨城・つくば市で開かれる日本鳥学会大会で、自由集会として俎上にあげます。〔くわしくはのちほど〕

そんなムクドリのねぐらの一つが埼玉県朝霞市のJR武蔵野線北朝霞駅周辺。ここは東武東上線朝霞台との乗換え駅のため、たくさんの人が行き来します。そこで調査をしていた627日(火)夕方6時半ごろ。ねぐら入りするムクドリやスズメと混じってヒメアマツバメが2羽、飛び交っているのを発見。ヒメアマツバメは1960年代から日本に進入してきた南方系の鳥で、東京では都心の千代田区の高層ビルで自前の巣を造り繁殖し、郊外の八王子市では、イワツバメの古巣をおもに利用して繁殖していますが、この一帯での繁殖は知られていません。

北朝霞駅の高架下には、かつてイワツバメのコロニーがありましたので、それを利用して繁殖したと思われます〔写真〕。この鳥の営巣地はコンクリート造りの建造物ですので、都市鳥として研究対象種です。これから本格調査ですが、同じような環境はたくさんありますので、近くで営巣地をご存知の方はぜひお知らせください。 〔川内