2019年5月18日土曜日

21世紀の“巣箱研究”開始

  ここ数年来、東京都内の緑島の鳥のようすを調べています。その中で新宿御苑(新宿・渋谷区)や北の丸公園(千代田区)に大量に掛けられている巣箱にちょっと注目しています。ほとんどはシジュウカラ用タイプで、近くの学校が学習の一環として作製しているものと思われます。比較的狭い範囲に数十個が集中して掛けられ、今はその利用状況を見ているのですが、芳しくはないようです。

  かつては“野鳥を増やそう”というスローガンのもとに、巣箱掛けは広く奨励されていましたが、近年は“特定種のみを増やす”・“落下して危険”と公園などでは敬遠されています。掛けられている巣箱のなかには、キビタキ・セキレイ用やコウモリ用のもの、また、郊外ではアオバズクやフクロウ用のものもあり多面的に調べる必要がありそうです。
  ところで先日、新宿御苑の「母子の森」でアオダイショウが巣穴を覗いている現場に遭遇しました【写真】。1.5mはありそうな大物で、巣箱のなかに首を突っ込みましたが営巣していなかったらしく空振り。聞くところによるとその場所の巣箱は以前にも襲われたことがあるとか。

 “人工物利用”という点で、巣箱は都市鳥研究の範疇にはいることなので、もう少し手広く調査を進めていきたいと思っています。岡山・吉備中央町で始まったブッポウソウの巣箱掛けは、広島・鳥取・四国に広がり、定着しているとのこと。以前から橋脚やダムサイトなど人工建造物を利用する鳥なので、全国的に広がる可能性があります。イソヒヨドリとともに、その動向を注視していきたいと思っています。〔川内 博〕