最近オリンピックがらみで何かと話題に登場する東京・渋谷の代々木公園で、この6月にカラスに関わる2つの行動を見かけました。東京都内からはカラスの数は減っていますが、代々木公園は今も都内有数の“カラス天国”です。我が物顔に飛びまわっているのはハシブトガラスですが、以前はごく少数だったハシボソガラスも目立つようになってきました。
今回の主役はハシブトガラスで、1つは「なに?・これ!」というカラスのしぐさです【写真1】。この姿をみてまずイメージしたのは、写真や映像でみたことのあるアフリカのクロコサギ Egretta ardesiaca の特異の行動と、実際見たことのある「蟻浴」でした。「蟻浴」とは明らかに動きが違い、また、羽・周辺にアリの存在はありませんでした。
そこで、日ごろ野外で鳥の観察をしている知人多数に「こんなカラスは見たことありますか?」と発信したところ、10人の方から返信があり、いずれも「見たことがない」ということでした、「蟻浴・日光浴ではないか」・「クロコサギのそれを想起する」ということが多数で、この行為自体はあまり見られていないことがわかりました。
1回だけの観察ですので、この個体特有の「くせ」ではないかと再調査をしていたら、「なんで!?」という行動を見かけました【写真2】。“モグラの土盛りの中からコンクリートのかけらを掘り出し、咥えて別の場所に運び、上から落ち葉で完全に隠す”という行動で、コンクリート片はカラスに比べて大きく・重そうで、何のために?という疑問を持ちました。北海道でカラスを研究している会員からは「遊び」ではという示唆がありました。可能性は大だと思いますが、その動作は手慣れてスムーズなものでした。
2つの行動について、同じような観察をされた方・なんらかの「答え」をお持ちの方・興味をお持ちの方は、都市鳥研究会あてにご連絡ください。(川内 博)
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