2023年11月11日土曜日

2023年秋・東京都心の緑島を通過していく鳥たち

今夏の酷暑のせいか、私がホームグラウンドとしているJR山手線内側の東京都心のフィールドでは、今年の「秋の渡り」において例年と比較して幾つかの異変が感じられました。

先ずは渡りの開始時期がずれ込んだことです。例年であれば8月中旬位からツツドリ【写真1】・ムシクイ類・キビタキ・サンコウチョウなどが順次観察されるのですが、今季は8月中の観察は皆無でした。9月に入るとともにムシクイ類が通過しはじめ、中旬にはツツドリ・キビタキ・サンコウチョウなどが通過、9月29日にはヤブサメ【写真2】も見られました。これを種別に纏めてみると、ムシクイ類では10日、トケン類では20日、サンコウチョウでは20日、キビタキ・ヤブサメは1カ月の遅れが確認されました。また、キビタキ・コサメビタキ・エゾビタキ・サンコウチョウなどのヒタキ系の通過個体数は減少が感じられました。  

渡りの中盤以降では、逆に例年よりも早く観察されるケースが見られました。例年は10月下旬頃から順次観察される冬鳥ですが、10月11日にはアオジがみられ、17日にはジョウビタキ、27日にはトラツグミが観察されました。アオジ・ジョウビタキにおいては約半月、トラツグミでは1カ月ほど早い飛来でした。

今夏のような高温が繰り返すような場合、鳥類への影響は計り知れないダメージとなるかも知れず、全国的な調査が待たれるところです。〔井上裕由〕

写真1 ツツドリ

写真1 ヤブサメ