2017年8月6日日曜日

東武東上線沿線のムクドリの「駅前ねぐら」・第4報

 昨年730日に第3報をのせたこの報告、今年も6月末から調査を始めました。基本的な状況は昨夏と同じで、東武東上線の急行停車駅の朝霞台駅(JR北朝霞駅)・志木駅・ふじみ野駅・川越駅(いずれも埼玉県)に「ムクドリの集団ねぐら」ができていました。
 今夏まず調べたのが池袋からもっとも近い朝霞台駅。昨年と同じ場所に同じ規模でできていました。目算4000羽程度。志木駅も同様でしたが、昨年よりやや少ない感じで2000羽程度。川越駅は、629日には4000羽程度が西口に集中し、ロータリー脇のケヤキに多数が止まっていました。しかし84日には、昨年までと同様、東口の広告塔やTVアンテナにも集まっていました。
 
 今年一番の変化はふじみ野駅で、ここでは西口のロータリーから延びる大通りの左右のケヤキ並木に5000羽を超える数が集まり、昨年までは市から委託された男性2名が、ディストレスコールでムクドリの追い立てを行っていました。しかし、今年は、駅前から約250mまでの間に、見なれない商品名の「ムクドリ害対策器」〔写真1〕が10台設置され、1830分からランダムに人工合成音を発していました。その効果は抜群で、ムクドリはまったくと止まっていませんでした。しかも、その音はムクドリ以外には影響がないようで、その近くで多数のスズメがねぐら入りをしていました。 
 ムクドリはというと、残念ながら、その先の機器が設置されていない並木に集まっていました。結局はただ追い出しただけで、問題の根本的な解決とはなっていないようです。効果抜群の“新兵器”の威力がいつまで続くのかは興味のあるところで、731日の時点ではその状況は持続されていました。〔写真2〕
 
 ところで、変化としてはもうひとつ。急行が止まらない朝霞駅の東口ロータリーのケヤキにねぐらができたことです。数は3000羽程度。しかし、7月初めに気づいたこのねぐら、26日に再調査をした時には一帯の街路樹が強剪定され、1羽の姿も見かけませんでした。やはり「駅前ムクドリ」にとって“にぎやかさ”がねぐらの必要条件なのか?

〔川内 博〕

(写真1)



(写真2)

2017年7月22日土曜日

自然教育園の鳥類 1980・1990・2010年代の比較まとまる

当会が東京都心のフィールドとして鳥相の研究している自然教育園〔港区、正式名・国立科学博物館附属自然教育園〕の第5弾の報告がまとまりました。今回のタイトルは「自然教育園における198019902010年代の鳥相とその推移」(自然教育園報告 48号:2546)。
このなかの2010年代のデータは、当会と日本野鳥の会東京で3年間実施した「調査探鳥会」の記録です。1980年代・1990年代のデータは、同園技官・千羽晋示氏と一緒に調査されていた坂本直樹氏の個人データです。同氏は千羽技官の指導のもとに、1980年~1993年までの14年間、ほぼ毎週のように日曜日に、園内でセンサスをされていました。
その全データを当会に提供いただきましたので、今回その一部を利用し、1980年代〔A〕・1990年代〔B〕・2010年代〔C〕の3つの期間での出現鳥種・個体数の比較を行いました。
その結果、①出現鳥種は16種程度であまり変わらない。ただし、その構成種は変化している。②出現個体数は、198090年代はほぼ同じだが、2010年代は、その3割減である〔グラフ〕。③森林性の鳥の増加・草原性の鳥の減少が明らかなどの成果が得られました。

詳しくは、下記の自然教育園のHPにアップされています。




2017年7月12日水曜日

埼玉・JR北朝霞駅前でヒメアツマツバメ

今年も関係する人には“嫌な季節”になってきました。ムクドリが“わざわざ”人通りの多い駅周辺や大型店舗の近く、役所や銀行街の通りなどに多数(数百~数千羽、ときに万単位)集まってねぐら(塒)をつくり、夜を過ごすために、その糞害・鳴声による騒音・換羽による不衛生などで、付近の店主や住人、通行人が不快な思いをするというものです。この問題は30年以上前から表面化していますが、いまだにその解決法はみつからない難問です。

住民や自治体は、さまざまな対策で問題解消を図っていますが、肝心のムクドリの大群は、いろいろな妨害にもめげず、初夏から初冬まで毎晩飛来し、なかなか解決しません。
当初、東京圏で多発し問題化しましたが、今では全国規模に広がっています。
当会では、このムクドリ問題を、今年9月に茨城・つくば市で開かれる日本鳥学会大会で、自由集会として俎上にあげます。〔くわしくはのちほど〕

そんなムクドリのねぐらの一つが埼玉県朝霞市のJR武蔵野線北朝霞駅周辺。ここは東武東上線朝霞台との乗換え駅のため、たくさんの人が行き来します。そこで調査をしていた627日(火)夕方6時半ごろ。ねぐら入りするムクドリやスズメと混じってヒメアマツバメが2羽、飛び交っているのを発見。ヒメアマツバメは1960年代から日本に進入してきた南方系の鳥で、東京では都心の千代田区の高層ビルで自前の巣を造り繁殖し、郊外の八王子市では、イワツバメの古巣をおもに利用して繁殖していますが、この一帯での繁殖は知られていません。

北朝霞駅の高架下には、かつてイワツバメのコロニーがありましたので、それを利用して繁殖したと思われます〔写真〕。この鳥の営巣地はコンクリート造りの建造物ですので、都市鳥として研究対象種です。これから本格調査ですが、同じような環境はたくさんありますので、近くで営巣地をご存知の方はぜひお知らせください。 〔川内


2017年6月23日金曜日

伊豆諸島と伊豆半島のイソヒヨドリの現状

5月末から6月初めにかけて、伊豆諸島の神津島と伊豆半島のイソヒヨドリの現況を見る機会がありました。2か所の共通点は、イソヒヨドリが昔から生息していた場所。イソヒヨドリの「内陸部進出」を調べていると“これまでの生息地は今どうなっている?”という質問をよくされます。神津島は以前からふつうに生息し、また、伊豆半島は本州の太平洋側では名所として知られている場所です。
今回、神津島のようすは東京都鳥類繁殖分布調査の一環で把握することができました。また、伊豆半島については、以前から会報をいただいている関係から、地元の「伊豆野鳥愛好会」の方に車でご案内をいただき、状況を知ることができました。どちらも、いろいろな場所で、イソヒヨドリの姿を確認できました〔写真・巣に餌を運ぶ雄のイソヒヨドリ〕。
しかし、神津島では、かつては海岸線にしかいなかったのが、島の中央にそびえる天上山(標高572m)の山頂でも見られるようになったのは古いことではないとのことでした。また、伊豆半島では、以前から道路沿いの人家に生息するのは見られていたのが、駅など目立つところでも営巣するようになったのはここ数年来とのことです。
とりあえず、旧来の生息地は元気なようです。そして、生息分布を拡大しているようです。以前からイソヒヨドリが生息している場所の現状も、ぜひお知らせください。(川内


2017年5月30日火曜日

ツイッターで内陸イソヒヨドリの情報収集

海から10kmという条件で、ツイッターを利用して内陸部でのイソヒヨドリの観察例を呼びかけたところ、1週間でほぼ全国から170例の報告が集まりました。まだ、これからも報告がくるところですが、いまのところ結果を眺めてみると、奈良、京都、神奈川の観察例が多く、全体的には関東以西に集中しているようです。東北は仙台での繁殖を含めた観察事例はありますが、全体的に少なく、北海道にもあまり進出していないようです。しかし、南が多いのかと思いきや、四国や九州からはあまり報告ないのも興味深い点です。内陸部に都市が発展していないということもあるかもしれません。
現在、報告がない都道府県は、青森、香川、徳島、高知、宮崎、鹿児島、長崎、沖縄です。ただ、長崎と沖縄は海から10kmの条件は厳しいそうなので今回は除外します。
それにしてもSNSの情報収集能力の高さには改めて驚きました。これからは駅や商業施設などのキーを整理して解析に取り組みたいと思います。(柴田佳秀)





2017年5月22日月曜日

『都市鳥ニュース』№22を発行しました・・・メールで贈ります

当会の広報誌『都市鳥ニュース』№22を発行しました。今回のトップ記事は「全国調査『イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか』観察状況をお寄せください+まとめ人・スタッフ募集」です。
イソヒヨドリの内陸部進出は予想以上に進んでいて、調べはじめて序の口の段階ですが、出会う人にイソヒヨドリの話をすると、それぞれ身近なところで観察していて、さまざまなところに進出していることがわかってきました。そこで、事務局の力だけでは全体をまとめ切れないということで、都道府県単位での「まとめ人」(共同研究者)を募っています。もちろん「できる限り」で結構です。事務局がバックアップします。また、情報整理のスタッフも募集しています。ぜひ積極的に手をあげてください。

“内陸部進出は予想以上に進んでいる!”を実感したのはもうひとつ。52日付朝日新聞・夕刊に、イソヒヨドリの話と写真、目撃情報募集との記事が載った夕方から、メールが次々と寄せられ、516日現在で60件となりました。観察地を都道府県別に集計したところ、沖縄・九州地方から3件、中国・四国地方5件、関西地方37件、中部地方1件、関東地方14件、東北・北海道地方0件ということで、関西圏からが2/3という状況でした。それにしても新聞記事への反応ですので、イソヒヨドリの定着は確かだという証拠になります。

ところで、メールの中で“感謝”ということが書かれているものが何通もありました。日ごろ気になる鳥だが「写真」をみて、イソヒヨドリだと分かったというものです。写真の主は本ブログの420日付で登場した東京・渋谷の“いそ太郎”君。新聞にのった写真がカラーだったため、目にとまったようです。このブログのイソヒヨドリは同じ場所で撮られたニューフェース“いそ次郎”君〔写真・北野美穂子氏撮影〕。乱暴者の“いそ太郎”が姿を消した後、“いそこ”さんの新しいパートナーとなって現れたイケメンとのことです。

ここまで読んで“何の話?”と興味を持たれた方は、当会メールアドレス〔下記〕に、「B会員で入会希望」とメールをお寄せください。『都市鳥ニュース』№22PDF版〕をメールでお贈りします。ちなみに、B会員は協力会員で会費等は不要です。

Emailhkawachi2dreamyahoo.co.jp 〔発信の際に☆を@にしてください〕



2017年4月30日日曜日

「イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか」調査展開中

磯の鳥・イソヒヨドリ Monticola solitariusが、市街地のビル街や思いもよらない山中で見かけることが多くなっています〔写真:渋谷のイソヒヨドリ・北野美穂子氏撮影〕。
「イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか」というテーマで、その実態と原因、影響などについて、都市鳥研究会の統一テーマとして調べています。
イソヒヨドリの最近の観察事例を、「いつ・どこで・何羽・何をしていた」という形でお送りください。また、未発表の過去の記録や、何らかの形で公開された報告なども収集しています。逆に、海岸線で従来生息していたが、ここのところ減ったなどといった記録も貴重です。さらに、ネット上でこんな情報・記録を見かけたという情報もお願いします。
ご連絡の際、お名前・連絡先の明記をお願いいたします。記録は会誌・ニュースなどでまとめさせていただきます。 〔第1次締切:2017年6月30日〕


【報告例】 囲みのような内容でお送りください。①~③のいずれかの連絡先を
1.いつ:2016 47
2.どこで:和歌山県
3.何羽:♂3羽;早朝から宿坊一帯を歩いていて、3か所で単独で認めた。
4.何をしていた:3羽とも、建物の上で囀っていた。
5.その他:
6.報告者:川内 博(カワチ・ヒロシ):
  ①E-mail ②Tel/Fax  ③住所などの連絡先                         


【連絡先】
E-mail:hkawachi2dream☆yahoo.co.jp Tel/Fax:048-462-7141
住 所:〒351-0114 埼玉県和光市本町31-16-901  都市鳥研究会・イソヒヨ
ドリ係

迷惑メール対策でメールアドレス@は☆に換えてあります。メールをお送りいただく場合は、☆を@に換えてください。

渋谷のイソヒヨドリ

2017年3月27日月曜日

2016年八王子駅周辺3㎞四方ツバメの巣調査結果

東京都八王子市を中心に活動している「八王子・日野カワセミ会」は、当会が実施している「東京駅を中心とした3㎞四方」と比較ができるように、JR八王子駅を起点に同様の調査しています。会報『かわせみ』第58号に、昨年の結果が載っていました。
 同会では2001年が最初で、今回が4回目で、巣数の年次変化は下記のグラフ〔第2図       

 縦軸:巣の数・横軸:調査年〕の状況で、残念ながら右肩下がり5年前と比べ約10%10年前と比べると35%の減少とのこと。次いで営巣した建物については、1建物に189%でしたが、多数造られている場所もあり4巣(市民センター)・5巣(小学校)・6巣(保育園)とのこと。人がたくさんいるところが好きということと、適した建物が減ったということではないかと推測しますが、「駅はゼロ」というデータ〔第3表〕も最近の状況を現していると思いました。(川内 博)



2017年3月7日火曜日

「時代とともに生息環境変化」本会の研究が日経新聞3月5日に紹介されました

「カラス 都会を去る」というタイトルで、35日付・日本経済新聞のサイエンス面に、当会調査のカラスねぐら調査の結果をもとにした記事が大きなスペースで載せられました。今、東京の市街地でカラス(とくにハシブトガラス)の減少が顕著です。記事では、その裏付けとなる「都心部にねぐらをとるカラスの数」の推移グラフや、「生ゴミ対策や捕獲の効果」が功を奏したという東京都の見解などが紹介されています。
また、この記事には、当会がもう一つの柱として実施している「東京駅を中心としたツバメの繁殖状況」調査も紹介され、営巣数の推移などのグラフも載せられ、関連して日本野鳥の会の全国調査の結果も触れられています。さらに話題は全国的な「スズメの減少」にもおよび、当会会員の三上 修さん(北海道教育大学)のコメントが載っています。
後半部は、ドバトやカモの減少、カワセミやオオタカの増加など、大都会・東京の鳥たちの今の姿に話は展開し、記事中にかかわるツバメ・スズメ・オナガガモ・ドバト・オオタカ・エナガ・カワセミのカラー写真も載せられ、最後に、「都市部の鳥の栄枯盛衰は、人間は鳥とどう共生すべきかという問題を訴えている」と締めくくられています。 

226日、NHK総合テレビ「ダーウィンが来た!」で、話では聞いていた“ローマのカモメ”の状況が紹介されました。世界中の大都会で、野生動物とのトラブルが発生しています。かの有名な“東京のカラス”はどうなっていくのか〔写真〕、都市鳥研究会では、今後もしっかり注視していきたいと思っています。(川内

銀座でもっとも生ごみの食荒らしが目立った場所の今

2017年2月10日金曜日

東京のカラス問題今昔・2月15日TBS「上田晋也のニッポンの過去問」で放送

東京のカラス問題1990年代~2000年代にかけて、大きな社会問題となり、全国的に話題を集めました。この問題が来週215日(水)の深夜(16 0:431:13TBSテレビで、「上田晋也のニッポンの過去問」で取りあげられます。

当会の会誌最新号『URBAN BIRDS  Vol.33』には、第7回の「東京都心におけるカラスの集団塒の個体数調査」の結果が報告されています。この調査は、東京都心部の緑地(明治神宮・自然教育園・豊島岡墓地)の3か所で、冬にねぐらをとるカラスの数をカウントしているものです。これまでの推移をみると、第1回(1985年)に計6,727羽、第4回(2000年)には計18,664羽と急増しましたが、その後急減し、昨年末の第7回では計4,816羽となっています。

番組では、この数字に注目し、急増した理由・急減した原因について追及するとのことです。急増については説明がつきますが、これほどまでの「急減」については、今後、生ごみ対策[写真:最近のゴミ集積所の一例]、住民の意識向上、都による捕殺・巣落としの効果、またオオタカなどの猛禽類の進入など多面的な検証が必要と思われます。しかも街のカラス問題は全国に広がっていますので、決して過去のニュースではありません。しかし、この問題をよく知らない若い人はまずは題名通り「過去問」として必見です。

深夜の放送で、地域限定のようですが、都市鳥研究会がかかわった番組です。ぜひご覧ください。(川内 博)


最近のゴミ集積所の一例

2017年2月3日金曜日

都市鳥研究会誌 URBAN BIRDS Vol.33(通巻第74号)が発行されました。

74号 目 次

巻頭言…和田 岳  

7回者『心におけるカラスの集団塒の個体数調査(2015)
(唐沢孝一越川重治金子凱彦川内 博、石井秀夫柴田佳秀田中正彦沼里和幸) 

品川区におけるツバメの繁殖調査報告(唐沢孝一)

●広域的空間スケールにおけるスズメの個体数水準の変化
―明治から現代にいたる米穀の流通脱漏の変化に原因を求める一(有郎)

東京におけるウミネコの屋上繁殖の現状(松丸一郎樋口広芳)

スズメによるムクドリ繁殖巣の雛への異種間給餌(越治)

本会主催の集会報告・2016年の発行・発信物。お知らせ


2015年度。2016年度会計報告(金子凱彦川内 博)


2017年1月19日木曜日

図書紹介 数え上げた浅川流域の野鳥Ⅲ 八王子・日野カワセミ会30年間の観察記録

八王子市は東京都の南西部の多摩地区に広がる中核都市。日野市は東側に隣接しています。その中を流れるのが「浅川」。一級河川多摩川の支流で、山田川、湯殿川などと合流して、多摩川の中流域へと流れ込んでいます。「八王子・日野カワセミ会」は、30年前に30名程度で発足し、現在は230名の会員を誇る地域グループです。
ここでの調査活動は、他に類を見ないほど活発で、しかも「カウント」を中心に、比較・分析・検証ができるような科学的な調査を行っていて、さらに、その結果を印刷物として発行し続けていますので、重要な文献ともなっていす。今回の報告書の「Ⅲ」は10年前に続いてのもので、その間の状況や変化など、多くのことを知ることができ、自分のフィールドとの比較など有効な情報を得ることができます。
当会が中心となって、全国展開している「イソヒヨドリ」の状況についても、7ページにわたって詳細な報告がなされていますので、ぜひご一読ください。


『数え上げた浅川流域の野鳥Ⅲ 八王子・日野カワセミ会30年間の観察記録』(A4版・202ページ)。実費1,000円で頒布していただけるとのこと(送料はカワセミ会負担)、下記にお申込みください。
1920914 東京都八王子市片倉町937135 門口一男様


2016年11月10日木曜日

千葉県でのイソヒヨドリの内陸進出・中間報告

イソヒヨドリは名前のとおり、日本では海岸でよく見られる鳥ですが、アフリカからユーラシア大陸などでは山岳地帯の岩場などで生活しています。海岸でしか繁殖していなかった日本の方が特殊だったのではないでしょうか。近年関西を中心に内陸部の繁殖が増加し、関東にも内陸部の繁殖や目撃が増加してきていますが、千葉県でのようすをご紹介します。
2011年改訂の千葉県レッドデータブックでは、イソヒヨドリは要保護生物(絶滅危惧Ⅱ類に相当)になっていて、比較的個体数が少ない鳥類ですが、内陸への分布拡大を通じて個体数も増加傾向にあると思われます。
イソヒヨドリがどのように関東圏で生活域を拡大していくのかを追跡するため、千葉県での記録を文献および鳥仲間を通じて集めています。県内での内陸進出は、記録を辿ると古くは1970年台にいすみ市と勝浦市での記録があります。このうち勝浦市のものは、勝浦ダムのものです。
201610月までの集計では、内陸部での目撃例は佐倉市で9例、柏市で7例、流山市・市川市で4例、印西市・我孫子市で3例、いすみ市・鴨川市・君津市・勝浦市・松戸市でそれぞれ1例ずつあり、県内のほぼ全域で見られています。また、変わったところでは、鴨川市の東京大学演習林天津事務所付近では、ほぼ毎年のように見られています。この場所は房総半島の森林の中の管理事務所で、海岸でイソヒヨドリを見慣れた者にとって信じ難い場所です。ビル街のイソヒヨドリと同じく、イソヒヨドリは海岸の鳥というイメージはこれから捨てたほうがよさそうです。

県内の内陸部での記録が増加し始めたのは2013年ごろからで、2015年には我孫子駅前で巣立ち雛が見られていますので、このころから内陸部での繁殖がはじまったと考えられます。文献および観察記録の詳細な分析がまだ終わっていないので、引き続き集めています。情報をHP「掲示板」に書き込みお願いします。(越川重治)

船橋市の住宅街にあらわれたイソヒヨドリ 2015.5.14