兵庫県立大学・神戸商科キャンパス(神戸市)で開催された日本鳥学会2015年度大会で、都市鳥研究会として自由集会を、9月19日(土)・18時30分~20時30分に開きました。タイトルは「イソヒヨドリはなぜ内陸部へ進出するのか・・・大阪・東京地方でのようすからその実態に迫る」で、発表者は3人、参加者は22名。
まず、このイソヒヨドリ問題のイントロダクションとして、当会代表の川内
博氏から「イソヒヨドリの生態とその分布について」ということで、従来の生態・最近の分布、そして今何が起こっているかの概要が語られました。次いで、八王子・日野カワセミ会会長の粕谷和夫氏から、「東京都(八王子・日野)におけるイソヒヨドリの繁殖分布拡大」として、東京湾から50㎞離れた市街地でのようすが報告されました。そのなかで、営巣場所の確認がけっこう難しく、苦労をするという話が披露され、参加者の共感がありました。
発表の最後は今回の目玉、関西地方での実態を、大阪市立自然史博物館学芸員の和田
岳氏から、「関西のイソヒヨドリの内陸部での繁殖分布の拡大」ということで、大阪府での繁殖期の分布状況を中心に語られ、都心部ではまだ密度は低いが、県の南部地域では、その繁殖分布は「点」ではなく「面」とのことなどが報告されました。〔図〕
この発表には「大阪府での現状中心に ハッカチョウやムクドリの分布とも絡めて」というサブタイトルがついていて、四国・中国・関西地方に分布を広げているハッカチョウ(八哥鳥・Crested Mynah)についても現状が語られました。翌日、さっそく西明石に宿をとった会員から見たという報告がありました。海岸線沿いにけっこう高密度に生息しているようで、在来種のムクドリとの関係が、今後大きな話題になりそうです。
発表後のディスカッションでは、「岩山」を好むこの鳥が、人工の岩山「ビル」などのコンクリート建造物が多くなったために内陸部に進出してきたという、単純な発想では説明できないような事例が多数発表され、この現象が、けっこう生態学的に奥深いものを持っているという片鱗が見えたような気がします。
ディスカッションでの具体的な事例や、その“奥深さ”については、追々触れていきます。とりあえず、今後の全国調査は生息分布の変化を明らかにしていきたいと思います。この調査は「1例観察」でも参加できるという特徴を持っています。“いつ・こんなところで・なにをしていた”という報告を、下記にお寄せ下さい。
【報告先】E-mail:hkawachi2dream★yahoo.co.jp
<発信の際に★を@に変換してください>