今年から、イソヒヨドリの全国調査を本格的に始めています。イソヒヨドリはわが国では名前の通り「磯」に執着して生息し、沖縄から北海道の海岸に分布していることが知られています。しかし、そんな鳥が、いま海辺の街だけでなく、海から数十㎞、数百㎞離れた山中でもその姿が頻繁に見られるようになっています。「Why?」ということで、現在具体的な観察情報を広く収集しています。今回はそんな事例を2つ。
ひとつは、イソヒヨドリが“島中”にいるという沖縄・宮古島を初めて訪れ、2月4日に、中心地の平良(ひらら)の郊外から街なかを探索してみました。情報通り、ショッピングモール、サトウキビ畑、海岸線、公園、学校、官庁通り、商店街といろいろな環境を歩くと、屋上、電線、地面と次々と姿を現します。小雨もふる午前8時~13時までの5時間で、雄13羽・雌10羽の計23羽を確認。そんな中で、久貝地区にある久松中学校のそばを通ると美しいさえずりが聞こえてきました。声だけの確認かと思いながら通り過ぎようとしたとき、ごみ置き場から雄1羽が塀の上に飛び上がってきました〔写真1〕。生ごみを食べていたようです。ゴミとイソヒヨドリといえば、1月21日、東京・江戸川区の葛西臨海公園を歩いたとき、ごみ箱に出入りするイソヒヨドリの雌を観察しました〔写真2〕。
イソヒヨドリの食べ物のレパートリーは広く、岩場や草地、田んぼなどでの虫類の採食のほか、給餌台や路上でパン・ビスケット類を食べたり、酔っぱらいのげろなども口にします。ごみ箱での餌探しもよく見かける鳥です。そんな食性の幅が広いのも、彼らの分布拡大のひとつと思えますが、「いまなぜ?」というと、現時点では説明ができません。
ぜひ、具体的な観察情報を、写真・ビデオなどもまじえて、本会へご提供ください。(川内 博)
(写真1)沖縄・宮古島の学校のごみ置き場にいた雄 |
(写真2)東京・江戸川区の公園の ごみ箱で出入りする雌 |