2026年6月16日火曜日

『都市鳥ニュース・№40』を発行しました

この6月、当会の広報誌『都市鳥ニュース』を発行しました。


特集は「街で見かける鳥の数が減っている?・2」ということで、トップ報告は、埼玉県白岡市からの「山ノ神沼に飛来する鳥類の月別平均観察数の変化」ということで、2021年1月~2026年3月の間での月1回の調査結果がグラフで示されています。

大阪からは、「大阪市の市街地周辺において近年減少あるいはその可能性のある繁殖期の陸鳥」として、1997年~2022年までの間で行われた6回の調査結果が表として載せられています。キビタキやイソヒヨドリが近年増えてきているのは東京も同じですが、ドバトやスズメは変化がなく、ハシブトガラスやシジュウカラ【写真】は増えているというのは、東京とはやや異なるようです。

シジュウカラ

た、大阪市内の全域でツバメの巣の調査をされた結果、「2022年に発見できた巣の数は、2012年の約62%」という興味深い話も載せられています。

東京からは、国立科学博物館附属の自然教育園でのシジュウカラの生息数の減少が報告されています。2013年と2023年に同一調査者によってテリトリーマッピング法で行われた結果で35%減とのことです。

その他、「最近の都市鳥に関する研究論文」の紹介やイギリス鳥学会大会のようすを記した報告など掲載されています。〔A4判・12ページ〕

「都市鳥ニュース」は6月と12月に会員向けに発行されていますが、PDFですので、興味をもたれた方にはメールでお贈りしています。都市鳥研究会事務局へメールでご連絡ください。〔都市鳥研究会〕hkawachi2dream☆yahoo.co.jp

なお、アドレスはスバム対策のために、@を☆にしてありますので、お手数ですが、手入力で☆を@にかえていただきますようお願い申し上げます。

2026年5月31日日曜日

ハシブトガラスの巣の下にスズメの巣

ちょうど今の季節は鳥たちの繁殖期の真っ最中です。先日、近くの店まで買い物に行こうと歩いていると、電柱に営巣するハシブトガラスを発見しました。この道の電柱には過去にハシボソガラスが営巣し、繁殖に成功したことがありますが、ハシブトガラスは今回が初めてです。

ハシブトガラスが電柱に営巣するときは、写真のようにトランスの下の隙間に巣を作るのが特徴です。おそらく上から巣の中が見えないようにしているのだと思われます。

トランスの下にあったハシブトガラスの巣

巣材はハンガーや小枝でした。ハンガーは針金製だけでなく、樹脂製のものも見られたことから、どうやらカラスは針金という素材そのものよりも、ハンガーの形状に心を惹かれているのではないでしょうか。

そんな電柱営巣中のハシブトガラスを観察しているときのことでした。この巣の下にある白いボックスに何かが入るのが見えました。さらに詳しく観察すると、それはなんとスズメでした。

白いボックスの中にスズメの巣がある

都市のスズメはこのような電柱の部材に営巣する習性があり、とくに珍しいことではありません。しかし今回はハシブトガラスの巣の真下です。ハシブトガラスはスズメにとって恐ろしい捕食者ですから、こんな近くに営巣するなんて火の中に飛び込むようなものです。それでもスズメはまったく気にしていない様子で、ボックスを出入りし、おそらくヒナに給餌していました。

このことに気づいてから1週間後、再び様子を観察しに行きましたが、ハシブトガラスもスズメも特に変わった様子はなく、繁殖活動を続けていました。

巣に入るスズメの親鳥

これまでにも、スズメが捕食者であるオオタカやサシバ、オジロワシの巣に営巣した事例は知られています。これはスズメがタカやワシをガードマン代わりに利用しているという説がありますが、今回もそんな例と同じなのでしょうか。

それとも、スズメのヒナが外に出た途端、ハシブトガラスに捕食されてしまうのでしょうか。しかし、その瞬間を目撃するには、ずっと張り込むか自動撮影装置を設置するしか方法がありません。今回はさすがにそこまではできないため、とにかく頻繁に確認しようと思っています。(柴田佳秀)

2026年5月17日日曜日

埼玉県戸田市・彩湖で越冬したカリガネ

 環境省のレッドリストで「EN(絶滅危惧種)」とされているカリガネ1羽が、埼玉県戸田市の彩湖の岸辺で越冬しました。昨年113日に月1回の同地定期調査時に、彩湖のほとりに20人以上の人だかり。みんなの目やカメラの先には1羽のガンが悠々と生い茂るイネ科の草の先をついばんでいました。嘴の根元の白斑がまだ小さいカリガネの幼鳥でした【写真1・2025113日撮影】。まわりではオオバンたちがさかんに採餌をしていました。カリガネは集まった人を警戒するそぶりもなく、さかんに採餌を続けていました。


【写真1
 

 その後も毎月継続観察をしたところ、いる場所はいつも同じで、カメラを向けられて警戒することなく、また人が数メートルまで近づいても逃げず、“餌付け”でもされているのかと、周囲にいる人に聞いてもそのような行為は見ていないとのこと。

結局、11月・12月・1月・2月・4月にこの鳥を確認し、専門家からの依頼があった「幼鳥の白斑の変化のようす」を継続的に写真に収めることができました。【写真2・2026221日撮影】

【写真2】


 それにしても、同じ場所に半年いて、➀餌が確保できたことと、➁警戒するようなそぶりはなかったことに興味を持ちました。➀については今後植物の専門家の意見を聞く予定です。➁については、野鳥にたいしての“マナー”が少し良くなったのではないかと思いました。5月初めに訪れたときは、近くにいたキンクロハジロの群れもいなくなっていて、彼らとともに北の国へと飛び立ったと思われます。〔川内 博〕



2026年4月29日水曜日

記録が増えてきた埼玉県最南部のイソヒヨドリ~新座・朝霞・志木・和光での 状況・パート2

 都市鳥研究会の事務局がある埼玉県和光市や朝霞・新座市は、東京23区の練馬や板橋と隣接する場所で、比較的緑地の多い地域です。この一帯でのイソヒヨドリの出現や繁殖状況については、2022年5月27日付の本ブログで同名のタイトルでアップしました。今回はそのパート2として2026年4月下旬までの状況を紹介します。【写真1・イソヒヨドリの雄】


和光市での状況は、和光市駅前のビル街の屋上で囀る姿を行くたびに観察していて、営巣地での巣立ちビナも確認しています。また、ここ以外でも郊外に建つ「東京北部郵便局」で毎年営巣していて、昨年6月4日にも巣立ちビナを確認しました【写真2】。


朝霞市では、これまでも駅からやや離れた住宅街のマンションの屋上で囀る姿を何度も観察しているほか、昨年5月に朝霞駅近くでの観察情報があり気にしていたところ、今年の4月11日の夕方、その姿と囀りを駅から徒歩2分の場所で確認しました。また、同市の北朝霞駅では昨年5月23日朝に、駅に隣接するホテルの屋上で囀る雄を確認しました。

新座市では2021年5月に初記録。翌年5月23日に新座駅のホームに隣接したマンションのベランダで囀る姿を確認しました。今春も同地での観察を行いましたが、今のところこの2例だけです。

志木市では、2022年5月12日に駅に隣接した商業施設のベランダで地鳴きや囀りが記録されましたが、今のところこれが唯一の記録と思われます。

※新座市・志木市においては調査頻度が低いため、情報不足と思われます。

 イソヒヨドリは全国的にその生息分布を広げていて、現在もその状況が続いています。その拡大理由はいまだに“謎”のままです。各地のようすをお知らせください。〔川内 博〕


2026年3月25日水曜日

≪紹介≫ 特別企画 日本の鳥・我孫子市鳥の博物館で開催中

千葉県我孫子市の我孫子市鳥の博物館では2月28日~6月28日の間で収蔵標本を公開しています。同館で日本産鳥類全種のはく製標本の収蔵を目標に、資料の収集を進めていて、今回はできるだけ多くのはく製標本を展示し、多様な日本の鳥を紹介しています。


【入館料】一般300円、70才以上は無料など

【問い合わせ】電話:04-7185-2212

【公共交通機関】JR常磐線我孫子駅南口から市役所経由のバスで「市役所」で下車、徒歩5分・「無料駐車場あり」






2026年3月15日日曜日

ヒヨドリの食べものいろいろ

秋から冬にかけて、ヒヨドリはさまざまな果実を食べて暮らしています。しかし2月頃になると、その果実もほとんどなくなり、木の葉や草の葉など、ほかの鳥があまり利用しない食べ物を食べるようになります。

とくにブロッコリーが好きなようで、畑に植えられている作物に群れで飛来して葉を食べています。興味深いのは、人が食べる花芽にはほとんど手をつけず、葉ばかりを食べる点です。これにはヒヨドリなりの選択理由があるのでしょうか。想像ではありますが、寒さに備えて植物が葉に糖分を蓄えるため、その甘みをヒヨドリが好んでいるのかもしれません。

ブロッコリーに群がるヒヨドリ

ヒヨドリはこのほかにも、白菜やキャベツなどのアブラナ科の植物をよく食べます。これも同じ理由による可能性がありそうです。また、アカザ科のホウレンソウにも被害が出ることが知られており、これについても糖分との関係があるように思えます。ただし、栽培している農家にとっては深刻な被害であることも忘れてはなりません。

キャベツを食べるヒヨドリ

ヒヨドリは木の葉も食べる鳥として知られており、とくに好んで食べるのがユズリハです。ユズリハの葉にはアルカロイド系の毒が含まれているといわれますが、ヒヨドリは問題なく食べているようです。なぜ平気なのかは不思議ですが、ヒヨドリが食べたくなる何かがユズリハの葉にあるのだと思います。

ユズリハの葉を食べる。葉は食べられてギザギザになっています。

最後に、ヒヨドリが食べたものの中で、私がいちばん驚いたものを紹介します。それは米ぬかです。友人の畑で肥料として山積みにしてあった米ぬかにヒヨドリがたくさん集まると聞き、実際に見に行ったことがあります。ヒヨドリたちはそれをとてもおいしそうに食べていました。

米ぬかを食べるヒヨドリ

考えてみれば、和鳥の餌として米ぬかが使われるのは昔から普通のことですし、ニワトリの飼料にも利用されています。そう思うと、ヒヨドリが米ぬかを食べていても、それほど不思議ではないのかもしれません。(柴田佳秀)

2026年2月27日金曜日

新潟県南魚沼市六日町周辺のカラスのねぐらについて(2022年5月~2026年2月)

2022年5月15日、六日町に帰省したときのことです。16時半を過ぎると、六日町駅の北側の鉄塔や送電線に、六日町周辺からカラスが200羽以上集まってきました。ハシボソガラスが多いようです。5月18日、18時過ぎると六日町駅の駅舎屋根や電線にハシボソガラスを中心にカラスが集まってきました。(写真)さらに暗くなると、カラスは屋根のある駅ホーム内に入って寝ました。この状態が、2025年の秋ごろまで続きました。

六日町駅の駅舎屋根に集まるハシボソガラス

しかし、2025年年末に帰省してみると、カラスの群れは、鉄塔や六日町駅を越えて湯沢方向へ飛んで行きます。2026年1月2日16時ごろ、ハシボソガラスの群れは六日町駅を飛び越して、魚野川上流の塩沢・石打方向へ飛んで行きました。時折、澄んだ声がするので、ハシブトガラスも入っているようです。駅裏にある自宅から車に乗り、国道に出て、時速50キロ前後で走りました。運よく、国道沿いに車の斜め上を飛ぶカラスの群れがありました。私たちの車は信号につかまらずにスムーズに走っているのですが、カラスの群れは、私たちを追い越してさらに上流へと飛んで行きます。カラスがこれほど速く飛ぶとは思いませんでした。

16時40分(日の入り直後)国道17号の南魚沼市砂押交差点付近の電線に200羽ほど並んで留まっていました。少しして、この群れは、雪が解けて土が出ている田んぼに移動して、何かを盛んについばんでいました。この群れとは別に国道よりも西側の魚沼丘陵に近いルートで移動する200羽の群れなどもあり、合計500羽以上の移動が確認できました。17時には真っ暗になり、ねぐらは確認できませんでした。道の駅南魚沼~石打丸山スキー場までの平地林か、関興寺など魚沼丘陵側の林が塒になっている可能性があります。六日町駅職員の方のお話では、南魚沼市民からの苦情があり、雪が降る前にカラスと戦争(水撒き、カラス除け設置(写真)など)をして、駅からカラスを追い払ったそうです。

しかし、この2月訪れると駅の北側の鉄塔にカラスが戻ってきていました。市民との戦いは続きそうです。(富田恵理子)

六日町駅ホーム内カラス除け装置


2026年1月31日土曜日

オオバンが少ない

自宅近くには手賀沼に流入する小河川があり、私にとっては鳥を観察する大切なマイフィールドの一つとなっています。川沿いの土手には遊歩道が整備されており、ウォーキングやランニングを楽しむ市民の姿も多く見られます。ゆっくりと歩きながら鳥を探すには最適な環境で、私自身も週に何度か、ウォーキングを兼ねてこの場所で探鳥を続けています。

マイフィールドの大堀川

このフィールドでは、冬の今ごろが最も出現種数が多くなります。今年の1月1日には28種を確認することができました。カワセミやコサギ、アオジといったお馴染みの顔ぶれに加え、久しぶりにカシラダカも姿を見せるなど、なかなか充実した探鳥となりました。しかし、その一方で、例年であれば数多く見られるはずのオオバンが、今シーズンは明らかに少ないことが気になりました。

当地では、オオバンは例年10月頃から数が増え始め、4月になるとほとんど姿を見せなくなる鳥で、越冬地として利用していると考えられます。シーズン中であれば、集団で陸に上がり、草を採食する光景が必ずと言ってよいほど見られるのですが、今シーズンはそうした姿をほとんど確認できません。見られたとしても、せいぜい数羽程度にとどまっています。

かつてはよく見られた採食風景

私は普段の探鳥では個体数を細かくカウントすることはあまりありませんが、ときどきは数を記録しています。その記録によると、オオバンの最大羽数は2020年2月25日の223羽でした。ところが、今シーズンの2026年1月26日に確認できたのは、わずか28羽にすぎません。かつてあれほど多く見られたオオバンが、いったいどこへ行ってしまったのか、不思議でなりません。

2022年12月24日の写真。
35羽が写っていますが、現在は全体でもこれよりも少ない。

この状況が全国的な傾向なのか、それとも私のフィールドに限った現象なのか、とても気になっています。ちなみに、谷津干潟では今シーズンのオオバンの数が過去最大だそうで、場所によっては必ずしも減少していないことも分かりました。

オオバンは「たくさんいて当たり前」の鳥だと思っていましたが、もしかすると「気がついたらいなくなっていた」という事態が起こり得るのかもしれません。普通種こそ丁寧に観察し、個体数を記録することの重要性を、あらためて実感しているところです。(柴田佳秀)










2026年1月26日月曜日

『URBAN BIRDS』Vol.42を発行しました

都市鳥研究会の研究会誌として年1回発行している『URBAN BIRDS・Vol.42』を発行しました。

今号のトップは、当会が40年前の1985(昭和60)年から5年ごとに実施している「東京駅を中心とした3㎞四方におけるツバメの繁殖状況」調査の報告で、今回は第9回となります。

1回目の調査では44か所の営巣地が発見されたのが、第2回調査では半減し、それ以降も減り続け、今回確認できたのは11か所でした。減少の原因は“営巣地不足”。東京の中心であるこの地ではツバメの好む古手のビルは次々とガラス張りの高層ビルに変わり、営巣場所がなくなっている状況が顕著です。

そんな中、国の重要文化財に指定されている「東京駅」【写真】の構内で初営巣?というトピックもありました(本ブログ8月17日付でも紹介)。今春も営巣するか調査を継続する予定とのことです。

次いで、大阪からは「堺市におけるムクドリの離塒行動と就塒行動」ということで、市内4カ所の集団塒地で、その周年変化と影響要因についての調査の様子と考察が報告されています。

千葉からは「市川市でのコサギとアオサギの地上営巣」というタイトルで、さまざまな事例も参考に、市内での状況が報告されています。

愛知からは「名古屋の都市公園でのスズメとムクドリのカナリーヤシへの営巣とスズメの特異な営巣実態」、

埼玉からは「蓮田市で繁殖したツミの観察記録」として、2012~14年および2025年の観察記録など7件が収録されています。

本誌のバックナンバーについては、当会HPの「会誌URBANBIRDS」のコーナーをご覧ください。〔事務局〕