明治神宮は、いまから約95年前に、明治天皇を祀る神社として造成された森です。当初からの基本方針として、落葉・落枝も林床に戻すということで、当初の計画より早く“太古の森”といった雰囲気をもつ緑地となっています。
ここでは、1970(昭和45)年半ば以降、森林性の鳥のヒヨドリ・コゲラ・オオタカ・エナガが次々と定着し繁殖するようになっています。そして2011~2013年にかけて、40年ぶりに実施された「第二次明治神宮境内総合調査」では、キビタキが複数生息し〔写真:亀井ユリ子さん提供〕、餌をくわえ、巣と思われる場所に飛び込み、餌なしで飛び立つのを観察しました。残念ながら、巣の確認はできませんでしたが、昨年6月中旬に苑内をまわり、5か所で雄の囀りを確認しました。今年も5月下旬に、やはり5か所で確認しました。
最近になって繁殖を始めたのかというと、実は1971~72(昭和46~47)年に実施された第1回の総合調査の時も、「御苑で繁殖したと思われるヒナを連れた親子」が観察されています。しかし、その後も日本野鳥の会東京による探鳥会が毎月実施されていますが、繁殖の兆候を示すような記録がありません。