最近、鳥や自然関係の会でよく話題になるのは、若い人が従来の組織に入ってこないこと。このままでいくと会の存続が危ぶまれるという心配です。
イギリスの野鳥雑誌『ブリティッシュバーズ』の今年の7月号〔写真〕の巻頭「BB eye」でステファン・モス氏が「我々の次の世代(The Next
Generation)」という文を載せていました。その内容の大意を紹介します。
イギリスでも長い間、野鳥観察の会に若い人が来るのは珍しく、どこに行ってしまったのか不思議だったそうです。ところが今、この事態は変わってきているようです。土曜日の午後のバードフェァの場で、若者たちが野外でビールを飲みながら、年配の野鳥観察者や自然保護活動家たちと談笑しているとのこと。
若者の興味を引き、頼りになる「若い野鳥観察者の会(NGB)」と「自然観察(A FoN)」の2つの団体に入る若者が多く、彼らはソーシャルメディア(SNS)を駆使してブログを書き、写真や動画を配信し、一瞬にしてメッセージを伝えているとのこと。1960年代の若者が、20世紀末に抱いた虚無感は去って、次世代は“やってやろう”の意欲で一杯のようです。
イギリスの子供たちが、日常的にアウトドア生活と離れ育ち自然を知らないことが社会のあらゆる面に負の影響としておよんでいます。しかし、私は今、若者に信頼を寄せています。彼らは自発的かつ独創性によって、自然とのかかわりを構築しています。若者の姿は社会変化の象徴です。私達経験者がするべきことは彼らの話に耳を傾けることだと訴えています。
モス氏は最近フィンドレイ・ワイルド君が開設している「13歳のワイルド」というブログに「13歳ころ(1973年)の野外経験」を書いたそうです。その時に気づかされたのは、10代~20代を通して、野鳥観察の友達がたった一人しかいないことでした。当時は、今と違って野鳥観察と自然保護の発展にかかわる機会は皆無だったとのことです。
いまは、バーディングが著名人の中でも普通になってきているとのこと。また、学校にバーダーがいない若者もフェイスブックで近隣の場所で6人も見つけたとのこと。このように若者たちはソーシャルメディアで繋がっている。この若者たちの動きが一時的でなくて将来に及ぶと思うので、とても良いニュースだと結んでいます。
日本でもソーシャルメディアの世界が広がっています。同時に年配の人と若い人がしゃべり合う現実の世界も大事です。先日参加した北海道大学での日本鳥学会大会の懇親会で、たまたま恐竜の若い研究者が隣にいて、野鳥が化石になったらという新発想を学びました。今の学問・社会の急速な変化はなかなか面白いようです。
モス氏の文に出てきたBirding with Bill Oddie, Next Generation Birders(NGB) , A Focus on Nature(A FoN) , 13 Years Wilde、またStephen Moss氏もインターネットで調べられます。すごい世の中ですね。(川内桂子)