「調査にご協力いただいた皆様へ」ということで一冊の報告書が10月29日に郵送されてきました【図1】。中身は、わが国で繁殖している鳥たちのそれぞれの繁殖状況が、1970年代・1990年代・2010年代の3つの日本地図に記されています。例えば、当会が調査・研究しているイソヒヨドリの図版を見れば、かつては“海岸線に固着していた鳥”が、いつごろから内陸部にも進出したのか、そして今はどのような繁殖分布になっているかが一目でわかるようになっています【図2】。
報告書には、同じような図版が種ごとに、278種余掲載されています。全国を対象としたこのような繁殖地図は、世界的に見てもトップクラスのレベルです。
報告書自体は協力者や団体だけに配布される非売品ですが、多くの方が利用できるようにPDF版が公開されているとのことです。詳しくは下記にアクセスください。
https://www.bird-atlas.jp/pub.html
この事業を推進してきたNPO法人・バードリサーチは、この冬も「越冬分布調査」を継続するとのことで、その協力を呼びかけています。繁殖分布とともに、越冬期の状況も図で示せるようになれば、さらにさまざまな形での活用が広がると思います。 また、これらの調査が“ボランティア”で行われていることも意義が高いと思います。“野鳥の識別ができる”ということは一つの特技です。一人ひとりの観察や調査は小さいものですが、一つにまとまれば、日本の自然環境の「今」を記録することができます。ぜひこの活動にも一助をお願いします。(川内博)
https://www.bird-atlas.jp/winter.html
(図1) |
(図2) |