2025年12月29日月曜日

“街の鳥は減った?”・『都市鳥ニュース』No.39を発行しました

年2回発行している『都市鳥ニュース』の最新号の内容を紹介します。今回の特集は「街で見かける鳥の数が減っている?」で、北海道(札幌市・函館市)・千葉県・京都市からの状況が寄せられました。

 札幌からは代表的な冬鳥のツグミが、かつては“1本の木に100羽以上が止まっていた”のが、最近は目にしていないとのこと。マヒワやベニヒワ・アトリ・ハギマシコなども激減しているとの情報が寄せられました。

 同じ北海道の函館からは、2014年からの記録で、大学構内から見かけなくなった鳥としてフクロウやオオコノハズク、キジ(コウライキジ)。街なかではツバメやスズメが少なくなったとのこと。また、オオセグロカモメがビルの屋上で営巣。これは2018年に初めて見つかったのが、最近はいろいろなビルで見られるようになっているようです。さらに、ここ数年冬が暖かいためか、かつては冬には見かけなかったメジロ・ウグイス・カワラヒワ・ムクドリ・キジバトが居残っているとのことです。

 京都からは2009年からの洛中・洛外での調査では、思ったより多くの鳥を確認したとのこと。なかでもアオバズクの繁殖が継続されているのは大都市の市街地としては珍しいのではないでしょうか。

 千葉からは房総市と習志野市での2000年前後と2024年ごろの比較調査結果が表として示されていて、増加傾向・個体数倍増・減少傾向・個体数半減が示され、どのような傾向化が一覧できるようになっています。

 『都市鳥ニュース』は、会員以外からの投稿もできる当会の広報誌で、興味ある方はメールで配信しています。興味ある方はホームページを見てご連絡ください。

 都市鳥研究会 HP 〔都市鳥研究会事務局〕




2025年12月21日日曜日

第9回都心のカラスの個体数調査が行われました。

 都市鳥研究会では、1985年から5年に一度(ただし2020年はコロナにより翌年に延期)、東京都心部にある3か所のカラスの集団ねぐら──国立科学博物館附属自然教育園、明治神宮、豊島岡墓地──において、就塒するカラスの個体数調査を継続して行っています。3カ所の集団ねぐらはいずれも山手線内とその近くにある最大規模の集団ねぐらであること、カラスの地域個体群は冬季に集団ねぐらに集まって夜を過ごす修正があることなどから、都心3カ所のカラスの就塒個体数を山手線とその周辺に生息するカラスの個体数とみなしてその変化に注目してきました。

調査では、ねぐらを取り囲むように調査員を配置し、午後2時頃から日没までの間に、ねぐらへ出入りするカラスの個体数を目視でカウントします。調査員はすべて、市民によるボランティア調査員です。

第9回目となる今回は、調査開始から40年目にあたる節目の年で、2025年12月13日に実施しました。そして、その調査結果について、速報値がまとまりましたのでお知らせします。


都心3カ所の集団ねぐらのカラスの羽数                       

自然教育園4羽、明治神宮1,952羽、豊島岡墓地1,031羽 計2,987羽

  • 4年前の2021年の合計2,785羽に比べ、202羽増加しました。増加率は7.3%でした。
  • ピーク時(2000年)の18,658羽に比べ84%の減少となりました。
  • 自然教育園での減少が著しく2015年の848羽、2021年25羽から4羽へと激減。ほぼねぐらは消滅したと言ってよいほどでした。
  • 都心への分布を広げつつあるハシボソガラスは、明治神宮29羽、豊島岡墓地で3羽が記録されました。

なお、上記の数値は2025年12月20日現在の暫定的な速報値です。今後、個体数の分析や今後の課題などを含めて報告書としてまとめる所存です。詳細は「会報Urban Birds Vol.43」(2026年12月頃発行予定)に掲載いたします。(越川重治・川内博・柴田佳秀)




2025年12月5日金曜日

餌づくカモと餌づかないカモの違い

公園の池でカモを見るのが楽しい季節になりました。近所の公園の池にも、マガモやオナガガモ、カルガモ、コガモが続々と渡ってきて、たいへんにぎやかです。

先日、そんなカモたちを観察していると、一部の個体が岸に上がり、人のそばに集まっていることに気がつきました。どうやらエサを与える人がいて、それを目当てに集まっているようなのです。

いちばん積極的に近づいているのはカルガモで、その少し後ろに控えるようにオナガガモがいます。

上陸してパンを食べるカルガモ

少し距離を置くオナガガモ

しかし、この池で最も多いのはマガモで、おそらく全体の8割近くを占めています。次に多いのがコガモで、オナガガモやカルガモはどちらかといえば少数派です。

不思議なことに、最も数が多いマガモは、給餌にはまったく興味を示しません。コガモも同じで、池にパンを投げ入れても見向きもしないのです。


マガモは給餌にまったく無関心

では、「種によって給餌を受け入れる・受け入れない」、その差はどこから生まれのでしょうか。札幌の友人によると、そちらではマガモがカルガモのように餌づいているそうです。つまり、マガモだから人のエサを食べない、という単純な話ではなさそうです。

興味深いことに札幌のマガモは、「繁殖していて一年中いる定着個体は餌づくが、国外から渡った個体は餌づかない」というのです。こちらの池ではカルガモが繁殖しているので、その点も何か関係しているのかもしれません。

では、なぜ日本で繁殖していないオナガガモが、なぜ人のエサを食べるのでしょうか? オナガガモは、ハクチョウの給餌場に大量に集まることが知られています。

ハクチョウの給餌場に集まるのはほぼオナガガモ

以上の観察から、カモ類が人の与えるエサを利用するか否かは、単なる種間差だけでなく、個体が持つ経験、定着性、渡来経路といった背景要因が複合的に関与していると考えられます。現状では明確な結論を導くのは容易ではありませんが、行動生態学的に非常に興味深いテーマであり、今後も継続して観察を行い、要因を検討していきたいと思います。(柴田佳秀)