都市鳥研究会では、1985年から5年に一度(ただし2020年はコロナにより翌年に延期)、東京都心部にある3か所のカラスの集団ねぐら──国立科学博物館附属自然教育園、明治神宮、豊島岡墓地──において、就塒するカラスの個体数調査を継続して行っています。3カ所の集団ねぐらはいずれも山手線内とその近くにある最大規模の集団ねぐらであること、カラスの地域個体群は冬季に集団ねぐらに集まって夜を過ごす修正があることなどから、都心3カ所のカラスの就塒個体数を山手線とその周辺に生息するカラスの個体数とみなしてその変化に注目してきました。
調査では、ねぐらを取り囲むように調査員を配置し、午後2時頃から日没までの間に、ねぐらへ出入りするカラスの個体数を目視でカウントします。調査員はすべて、市民によるボランティア調査員です。
第9回目となる今回は、調査開始から40年目にあたる節目の年で、2025年12月13日に実施しました。そして、その調査結果について、速報値がまとまりましたのでお知らせします。
都心3カ所の集団ねぐらのカラスの羽数
自然教育園4羽、明治神宮1,952羽、豊島岡墓地1,031羽 計2,987羽
- 4年前の2021年の合計2,785羽に比べ、202羽増加しました。増加率は7.3%でした。
- ピーク時(2000年)の18,658羽に比べ84%の減少となりました。
- 自然教育園での減少が著しく2015年の848羽、2021年25羽から4羽へと激減。ほぼねぐらは消滅したと言ってよいほどでした。
- 都心への分布を広げつつあるハシボソガラスは、明治神宮29羽、豊島岡墓地で3羽が記録されました。
なお、上記の数値は2025年12月20日現在の暫定的な速報値です。今後、個体数の分析や今後の課題などを含めて報告書としてまとめる所存です。詳細は「会報Urban Birds Vol.43」(2026年12月頃発行予定)に掲載いたします。(越川重治・川内博・柴田佳秀)
