今から40年前の1985(昭和60)年から5年ごとに実施している「東京駅を中心とした3㎞四方におけるツバメの繁殖状況」調査。前回2020年の第8回はコロナ禍で、全域の調査は中止し、有志による状況調査を行いました〔『URBAN BIRDS』Vol.39 2022年〕。今回は、従来通り会員による共同調査を4月末~7月中旬にかけて行います。
第1回の調査では44か所という予想以上の営巣地を発見しましたが、2回目の1990年には半分以下になり、その後は回を追うごとに右肩下がりでしたが、7回目の2015年には5か所増の19か所での営巣を確認しました〔『URBAN BIRDS』Vol.32 2015年〕。
全国各地でツバメの繁殖調査は行われていますが、いずれも同じように減少傾向にあるようです。その主因は餌である「空中の虫たちの減少」と彼らの好む「営巣場所の不足」ですが、それとともに人がその存在に“無関心”になったことも挙げられます。
“ツバメは人好き”とよくいわれますが、これは人の近くだと天敵のカラスやスズメが近づかないという彼らなりの“戦略”と考えられますが、目も向けてくれない状況だと事情が違います。さらに、建物の構造や材質が巣を造りにくくなったり、新築の壁に泥と枯草で作る巣を嫌う傾向もあったり、ピンチが続いています。
写真上は第1回の調査時に見つけた「ブリキの巣」です。もちろんツバメが作ったものではありません? 軒先に造った巣が壊れて、その家の住人が身近にあったブリキ缶で巣の代用にしたものです。写真下は、老舗のデパート松屋銀座・東館につけられた軽量の人工巣です。今年も“愛されるツバメ”がたくさん戻ってくることを願っています。〔都市鳥研究会・事務局〕