都市鳥研究会では30年前の1985年より5年ごとに都心のカラスの個体数を調査してきました。夕方、就眠のために集団塒に集まってくる羽数をカウントしたものです。2015年12月19日(土)に第7回カラス調査を山手線内の3カ所の集団塒~豊島ケ岡墓地(文京区)、明治神宮(渋谷区)、自然教育園(港区)~で実施し、合計4808羽をカウントしました。この羽数は、ピーク時(2000年)18664羽の約1/4であり、74.2%の減少となりました。また、30年前の6727羽の水準を初めて下回り、都心のカラスの減少傾向がみえてきました。
以下は、第7回の調査結果です。
(1)各集団塒でのカウント数と3カ所の合計羽数は次の通りです。
豊島ケ岡墓地 1607羽、明治神宮 2353羽、 自然教育園 848羽合計4808羽
(2)3カ所の合計羽数は、第6回調査(2010年)に比べ37.8%の減少となりました。
表1は、「2010年と2015年の増減」を比較したものです。いずれの集団塒でも個体数が20%以上減少しました。中でも自然教育園は60.9%の激減でした。
表1. 2010年と比較した個体数の増減 |
➀1985年から2000年にかけて急増しました。
②2000年に個体数はピークに達しました。
③2000年以降は減少に転じ、今回の調査では30年前(1985年)の個体数を初めて下回りました。
(4) 第7回調査には合計76名が参加しました。
76名の内訳は、栃木県(1名)、埼玉線(4名)、千葉県(28名)、東京都(30名)、神奈川県(11名)、静岡県(1名)、愛知県(1名)でした。
今後、調査結果を詳しく精査し、塒への出入りの方位や減少原因等を分析するなどして2016年12月発行予定の都市鳥研究会会報に報告する予定です。
2015年12月26日(文責) 唐沢孝一、越川重治、金子凱彦
2015年12月26日(文責) 唐沢孝一、越川重治、金子凱彦