東京23区には江戸時代由来の庭園が点在しています。なかでも文京区には、江戸時代の大名屋敷に由来する緑地がいくつもあります。小石川後楽園や六義園、肥後細川庭園などで、そのようすを空から見ると、まるでコンクリートの海に浮かぶ緑の島のように見え「緑島(りょくとう)」と呼ばれています。
今回ご案内する「小石川植物園」もそのひとつですが、その成り立ちがちょっと違っています。緑島の多くは大名屋敷の庭園で、池を中心に、土地の起伏を生かし、築山を築いて、・・・というのが一般的ですが、小石川植物園は「小石川御薬園」がそのはじめ。明治時代以降は東京大学理学部付属の植物園として今に至っています。そのため管理の方法が「造園」ではありません。景観もまったく違っています。
今回、この地で写真を撮り続けている井上裕由さん(都市鳥研究会会員)の野鳥作品を使っての企画展【ポスター】に登場する鳥のなかには〝大都会の真ん中にこんなのがいるの!?〟と驚くような希少種も混じっています。薬草園のほかに、湧水が流れ込む大小の池、広い芝生地、斜面に広がる森などが103種もの野鳥(井上さん調べ)の観察を可能にする自然豊かな「緑島」を構成しています。「東京の都市鳥」、けっこう幅が広そうです。〔川内 博〕
〔展示期間〕2021年1月5日(火)~3月31日(水) 〔場所〕小石川植物園(東京大学付属植物園)・柴田記念館 10時半~16時<月曜・木曜日休館> 入館料無料(植物園の入園料は必要)