『となりのハト』柴田佳秀著 (2022年4月・山と渓谷社刊、定価1485円)
ハトへの興味を、著者自身が冒頭で「うつろな目でただ首を振って歩き回るだけの気持ちの悪い鳥」・「正直、私はハトにはそれほど関心がなかった・・・失礼だが、なんだか頭が悪そうで、なんと魅力に乏しい鳥なのだろうか」と記しています。
たしかに、野生のハトに関する本は少なく、研究も多くない状態です。一般に関心度が高いのは「農作物への加害」、次いで「ハト公害」で、直接それにかかわっている人以外は、興味を持たれることの少ない鳥であることは確かだと思います。
しかし、実際その鳥について調べてみると、すそ野の広い、豊かなグループであることを本書【表紙写真】は語っています。「ハトという鳥」に始まり、日本のゆかいなハトたち、世界のハト・絶滅したハトの紹介などがあり、鳥についての初心者でも読み進められる構成になっています。読者が知らず知らずのうちに“ハト博士”気分になったらこの本の本懐でしょう。最終章では、人とハトに関わるさまざまなことが記されています。登場するハトは、もっともなじみのあるドバト(カワラバト)が中心で、それに関わるいろいろな話題が紹介されています。
一つひとつは“豆知識”レベルですが、インターネットの時代、興味ある話題についてスマホやパソコンを使えば “豆粒大”であった知識を大きく育てることができ、また深堀をしてみようというきっかけにもなり、帯に記されているように“ハトのいる毎日の景色が一変する一冊”であることは間違いない本です。【都市鳥研究会・事務局】