年1回発行している研究誌、『URBAN BIRDS』Vol.39を発行しました。その内容を知るには当会ホームページのコンテンツから「会誌URBAN BIRDS」のボタンをクリックしてください。目次がアップされています。なお、本誌の発行は冊子で発行のみで、電子版はありません。
そのなかから、世界的にも問題となっている“都市に棲みついたカモメ”の日本版・“東京都心でのウミネコの近況”を紹介します。
「東京都心のビル街で営巣するウミネコ-最近の動向と隅田川の果たす役割-」当会会員の松丸一郎・平田 誠氏の共著。その論文の小見出しは次の通りです。
1.東京都内におけるウミネコの営巣・繁殖の動向
2.隅田川が都心で営巣・繁殖するウミネコに果たす役割
2-1 営巣開始前-ねぐらからビル街(営巣候補地探し)への移動経路としての役割
2-2営巣後の繁殖期-食餌の調達場所そのもの、かつ調達場所への経由地としての役割
2-3幼鳥の巣立ち後-都心を離れるまでの間,幼鳥の集合地・訓練場所としての役割
2-4隅田川でのウミネコ出現時刻のパターンが2021年と2022年でなぜ違っているのか
3.ビル街で営巣するウミネコに対する自治体の対応-東京都が「第13次東京都鳥獣保護管理事業計画」を策定-
4.海外における都市部でのカモメ類の営巣に対する取り組み
5.終わりに
東京での鳥類による環境問題はかつて「カラス」がよく知られていました。市街地でカラスが急増した原因のひとつに、家庭や飲食店などから出された生ごみ類が路上に放置状態だったためということがあり、その後対策がなされ、今ではほとんど話題になっていません。
しかし、この「ウミネコ」問題は、カラスのような“兵糧攻め”が効かないパターンです。繁殖期のウミネコの餌場は河川や海で、主にヒナの生育に必要な魚類を捕獲しています。繁殖はふだん人が立ち入らない建物の屋上での営巣、さらに、「鳥獣保護法」で守られ、自治体による「予察捕獲」の試みも2022年に開始したばかりで、影響は今後を見る必要があります。“都市鳥・ウミネコ”読み応えのある内容となっています。〔都市鳥研究会事務局〕