月刊誌『BIRDER』で2018年~2025年まで連載された「鳥の都会暮らし(アーバンライフ)はじめました」をベースとして、このたび、都市鳥ウォッチング図鑑『鳥たちはなぜ都会を選んだのか』という単行本が発行されました。“都会で生きる野鳥たちの栄枯盛衰。あなたはその物語の目撃者となる” 表紙のカバーにそんなフレーズが記されています。
40年前、「おもに東京の市街地を対象にした鳥の研究」として都市鳥研究会が誕生しました。当時は“カラスとスズメとハトしかいない街で鳥の何を研究するのか!?”とささやかれたものでしたが、そのころから街の鳥のようすがかわってきています。本書をめくると当時は予想もしなかった鳥たちが次々と登場しています。そんな街の鳥たちの生態が、カラーのイラストとともに紹介されています。
ページを開く前に、その本の表紙カバーを見てみましょう【図】。描かれている鳥は、ビル街なかで元気に飛ぶハシブトガラスと減少が続くツバメ。その周りに、最近すっかり “野鳥化?” しているドバトとそれを襲うハヤブサの姿。緑が少ないといわれている街なかを飛ぶ森林性のシジュウカラとエナガ、地面には餌をついばむ元祖都市鳥のスズメとその仲間入りしたハクセキレイ。そしてビルの屋上では新参者のイソヒヨドリが美しい声で歌っています。バードウオッチング初心者の方は、本書の目次からこれらの鳥のページを開いてみてください。それぞれに興味深い“物語”があり、カラーのイラストでその鳥の街なかで棲む生態の一部を知ることができるでしょう。
例えば、裏表紙にも描かれている水鳥のカルガモのページを開くと「日本一のオフィス街はカルガモの楽園だった」というタイトルとともに、1990年代前後にマスコミを巻きこん“かるがもフィーバー”の話が紹介されています。また、かつては日本でその繁殖が数例しか知られていなかった小型猛禽のツミが、なぜ街なかで営巣するようになったか、さらに東京では都心の都市公園でも繁殖しているこの鳥が、西日本では街なかで見られないという“謎”などが取り上げられています。街に棲むようになった「アーバン・バーズ」は人間優先の街のなかでどんな工夫をして生きているのか、本書を読むと、身近な鳥たちを見る目が少し変わってくると思います。〔川内 博〕
