2022年1月13日木曜日

会員からの投稿 ハクセキレイの戦い

11月のある日、自転車で自宅近くの大分川(大分県大分市)で探鳥中、堤防の下の河川敷の舗装された人道・自転車道で、ハクセキレイの雌が2羽、地面で採餌していました。

そこに1羽の雄が来て3羽で、やや距離を保ちながら採餌していました。そこにもう1羽雄が来て様子が急変しました。

雄同士で取っ組み合いとなり、空中と地上で激しい争いとなりました。【写真】 互いに力が拮抗していたのか、なかなか勝負は決まらず、その間何度か人や自転車が通るたび、両者はその場を離れ、再度戦いが始まるといった具合でした。雌は2羽ともその場を離れ、私の視野からは消えていました。

結局、この戦いは顔が黄色く背中の色が薄い若い個体が勝者となりました。その後その若い雄と雌が河川敷のフェンスに仲良く止まっているのを見かけました。(鈴木達雄)





2021年12月31日金曜日

『都市鳥ニュース No.31』を発行します

  年2回発行しています都市鳥研究会の広報誌『都市鳥ニュース No.31』を発行します。

今回は、前号に引き続いて「特集・首都圏のイソヒヨドリの今・2」として、埼玉県全域と東京都全域および区部(東京23区)【図】の状況を地図化して掲載します。とともに、それらの地域の「繁殖状況」を中心に紹介してあります。いずれの地区もまだ調査が十分でない感がありますが、相当な範囲に生息分布は広がっていることがわかります。

  そこで、今後の調査の力点を「営巣・繁殖」に置きたいと思っています。その参考となるものを誌面のトップで紹介しました。「奈良県吉野町におけるイソヒヨドリの繁殖観察日記」というタイトルで2019年の観察。繁殖生態の興味ある写真が多数掲載されています。とくにほとんど見ることができない抱卵中の姿や巣内ヒナのようすなどを知ることができます。また、同じ場所で複数回繁殖する際の状況など、さらにそれらが日記となって記されていますのでその経過を知ることもでき参考になります。〔都市鳥研究会・事務局〕




2021年12月18日土曜日

調査結果の速報~都心のカラスの個体数調査(2021年)

2021年12月12日に実施した第8回都心におけるカラスの個体数調査(2021年)の速報値をお知らせします。

都心3カ所の集団塒のカラスの羽数

自然教育園24羽、明治神宮1576羽、豊島ケ岡墓地1180羽、計2780羽

〇6年前の2015年の合計4816羽に比べ2036羽の減少。減少率は42.3%でした。

〇ピーク時(2000年)の18658羽に比べ85%の減少となりました。

〇特に自然教育園での減少が著しく、2015年の848羽から24羽へと激減。減少率は96.6%でした。

ただし、上記の数値は12月16日現在の暫定的な速報値です。現在、減少要因の分析や今後の課題なども含めて報告書としてまとめているところです。詳細は2022年発行予定の会誌『URBAN BIRDS』に掲載しますのでご覧ください。(文責 唐沢孝一・越川重治・金子凱彦)




2021年12月14日火曜日

速報・第8回東京都心3か所のカラス塒調査終わる

   折からのコロナ禍のなか、その実施を延期していた「第8回 都心におけるカラスの集団塒の個体数調査」を、1年遅れで、12日(日)の午後~夕方にかけて、東京都内3か所で予定通りに実施いたしました。本調査は、都市鳥研究会のメイン研究のひとつで、都内に増えてきていたカラス(おもにハシブトガラス)の個体数とその変化を知るために、明治神宮(渋谷区)・自然教育園(港区)・豊島ヶ岡墓地(文京区)の3か所で塒(ねぐら)に集まるカラスの数を調べているもので、1985年12月の第1回以来、5年ごとに実施し、今回は8回目で35年間のロング調査となっています。  

  調査員は全員、交通費を含めてボランティアでの活動。その一つの豊島ヶ岡墓地では、隣接する護国寺前に集合し、調査個所10地点・それぞれに調査員が配置され、午後1時過ぎ~5時までの約4時間、分担の方向を見続けて、カラスの出入りを観察しました。【写真・調査説明を聞く調査員たち】 10地点での合計は速報値で1,180羽。前回2015年は1,607羽でしたので、26.6%減という結果でした。

  幸いなことに、当日は好天無風で、冬とは思えない暖かさでした。調査にご協力いただきました54名の皆様にお礼を申し上げます。  

  東京都内のカラスは2000年をピークに年々減少していますが、今回の3か所全体の結果は、当会会誌の『URBAN BIRDS Vol.38』で発表予定です。その際には、詳細をこのブログでも紹介します。〔都市鳥研究会・事務局〕




2021年11月30日火曜日

東武東上線のムクドリの「駅前ねぐら」・第7報

  2015年8月14日から、ほぼ毎年のように本ブログにアップしている同名のタイトルも第7報となりました。今秋の9月~11月の状況を報告します。基本的にはこの6年間と“変わらず”ということになりますが、新しい動きも見られました。

    ひとつは、「新ねぐら地発見」で、今まで私の調査範囲では記録がなかった上福岡駅(埼玉県ふじみ野市)の駅前にムクドリのねぐらがあるとの情報で、10月28日に現地を訪れ、約1000羽のねぐら入りを確認しました【写真】。上福岡駅は急行電車が通過する駅で、本ブログによく登場している急行停車駅の「ふじみ野駅」の隣りです。  

  そのふじみ野駅はここのところのさまざまな対策が功を奏したのか、駅前から姿を消し、昨年は約1㎞離れた川越街道との交差点付近に移動していました〔2020年8月31日付をご覧ください〕。今秋の3回の調査では、9月27日に17時12分時点ではムクドリはいませんでしたが、川越街道の交差点まで確認にいき、17時50分に駅前に戻ってみると、駅前広場の5本のケヤキで数100羽の鳴き騒ぐ声を確認しました。しかし、その後、2回同地を訪れた時は、ムクドリの声はなく、駅前から続く通りに点々と設置された10台の「バードプロテクター」が次々と鳴り響いていただけでした。現時点では確証はありませんが、上福岡駅前に飛来したムクドリは、“追い立てると隣の駅に移る”というこの鳥の習性から、ふじみ野駅から移動したのではと考えられます。

 ちなみに、11月28日に上福岡駅での再調査をしたところ、約500羽のねぐら入りを確認しました。その後電車で約6分のふじみ野駅に立ち寄りましたが、やはりムクドリの気配はありませんでした。  

  もう一つの変化は川越駅からムクドリのねぐらが消えたことです。川越駅には9月21日と11月3日に訪れましたが、東口・西口とも糞跡もなくムクドリのねぐらの“気配なし”といったところです。この地でねぐらが確認できなかったのは昨秋も同じで、ねぐら地が西武新宿線の本川越駅に移ったのか、現在経過調査しているところです。[川内 博・桂子]



 

2021年10月30日土曜日

全国鳥類繁殖分布調査報告書“日本の鳥の今を描こう 2016-2021年”の紹介と 越冬期調査への協力のお勧め

「調査にご協力いただいた皆様へ」ということで一冊の報告書が10月29日に郵送されてきました【図1】。中身は、わが国で繁殖している鳥たちのそれぞれの繁殖状況が、1970年代・1990年代・2010年代の3つの日本地図に記されています。例えば、当会が調査・研究しているイソヒヨドリの図版を見れば、かつては“海岸線に固着していた鳥”が、いつごろから内陸部にも進出したのか、そして今はどのような繁殖分布になっているかが一目でわかるようになっています【図2】。

報告書には、同じような図版が種ごとに、278種余掲載されています。全国を対象としたこのような繁殖地図は、世界的に見てもトップクラスのレベルです。

報告書自体は協力者や団体だけに配布される非売品ですが、多くの方が利用できるようにPDF版が公開されているとのことです。詳しくは下記にアクセスください。

https://www.bird-atlas.jp/pub.html

この事業を推進してきたNPO法人・バードリサーチは、この冬も「越冬分布調査」を継続するとのことで、その協力を呼びかけています。繁殖分布とともに、越冬期の状況も図で示せるようになれば、さらにさまざまな形での活用が広がると思います。  また、これらの調査が“ボランティア”で行われていることも意義が高いと思います。“野鳥の識別ができる”ということは一つの特技です。一人ひとりの観察や調査は小さいものですが、一つにまとまれば、日本の自然環境の「今」を記録することができます。ぜひこの活動にも一助をお願いします。(川内博)

https://www.bird-atlas.jp/winter.html

                              

(図1)

(図2)




2021年10月12日火曜日

NHK「ダーウィンが来た」でイソヒヨドリを放送 その感想

前回のブログでも紹介しましたが、10月10日にNHK総合チャンネルで放送された自然番組「ダーウィンが来た」では「街に大進出!青い鳥の謎」と題して、イソヒヨドリが取り上げられました。

イソヒヨドリは、今まさに現在進行形で従来の生息地の海岸だけでなく、内陸の市街地でも姿を見るようになっている鳥です。その詳しい生態をテレビの自然番組で取り上げられるのは、おそらく初めてのこと。どんな内容になっているのか、放送が始まるまでワクワクして待ちました。

舞台は東京八王子。内陸イソヒヨドリがかなり早い段階で確認された場所です。イソヒヨドリの取材ならば、やはりここを選ぶでしょうね。

それにしても、八王子には本当にたくさんのイソヒヨドリがいるのでビックリしました。当然、そのことは知っていたのですが、それにしてもここ数年の増加ぶりがここまでとは思いませんでした。営巣箇所が50もあるとは。これは八王子・日野カワセミの会の調査の賜です。

映像は、繁殖の様子がよくわかり興味深い物でした。とくに巣立ちビナがハシブトガラスに襲われるシーンは、都市鳥の宿命をよく表しており、残酷なシーンですがカットしなかったのは拍手を送りたいです。また、イソヒヨドリはいるのがわかっても、なかなか巣が見つからない鳥なので、撮影はそうとう苦労されたと思います。さらにこのコロナ禍ですからなおさらでしょう。また、都市での鳥の撮影は、取材許可を取るのが本当に大変なんです。私は元ディレクターで、過去にいくつも都市の鳥を取材し番組を制作した経験があるので、その苦労は他人事ではありません。とくに近年は厳しさを増していると言いますから。

番組の核心部である、「何故、海から街へ進出したのか」その答えの一つとして、崖はイソヒヨドリの重要なソングポストであり、高いビルはそれと同じ機能を持っているという着眼点は納得いくものでした。じつは私も同じ事を感じていて、イソヒヨドリは縄張りを強く守る習性があり、見晴らしの良いソングポストはライバルの侵入を阻止するのには欠かせないと思っていたからです。

しかし、その他の説明では、納得いかない内容がいくつかありました。

一つは、イソヒヨドリの囀りは街の騒音の中でもよく通り、遠くまで聞こえやすい音域の特徴があること。それはもともとの繁殖地が海岸で波音がうるさい環境で育まれてきたものという説明がありました。しかし、イソヒヨドリはユーラシア大陸南部に広く分布する鳥で、海岸で繁殖しているのは日本と韓国だけ。ヨーロッパなどでは波音がしない山の中でも繁殖しており、そこのイソヒヨドリも同じような声で囀ることがわかっています。したがって、そもそもそのような音域の囀り持った鳥であって、波音がという推論は当たらないと思うのです。

世界のイソヒヨドリの声はこちらで聞くことができます。 

もう一つは、内陸進出をはじめたきっかけが、海岸部の開発でそれによって従来の生息地である崖がなくなったからという説。しかし、海岸部に行ってみればわかりますが、今でも普通にイソヒヨドリは生息しており、少なくなったというデータも私が知る限りではありません。また、崖がなくなったとしても人工物が代用されるため、イソヒヨドリがいなくなるとは到底思えないのです。

都市鳥の進出理由ではよくある説ですが、私の考えではこのような消極的な理由の鳥は見当たらず、都市進出はもっと積極的なメリットを見いだして行われているのではないかと思うのです。

今、まさにそのことを私を含めて当会は研究を進めているのですが、まだ、そのはっきりとした答えはわかっていません。でも、おぼろげながらそのストーリーは浮かびつつある実感は持っていますので、それを証明するために今後も調査を続けていこうと思っています。(柴田佳秀)







2021年9月24日金曜日

東京の八王子・日野市域のイソヒヨドリが『ダーウィンが来た』で 紹介

 9月10日~13日にズームで開かれた「日本鳥学会2021年大会」では、当会からは埼玉県和光市内での今年の営巣のようす【写真・川内 博氏撮影】や、東京都・埼玉県でのこれまでの生息状況とともに、関東地方でもっとも生息・繁殖密度の高い八王子・日野市域での営巣状況を発表しました。

その八王子・日野市域でのイソヒヨドリの生態が、NHK総合の人気番組『ダーウィンが来た』で10月10日放送されるとのことです。同地での撮影は2019年から始まりましたが、昨年はコロナ禍で中断されたとか。

市街地のイソヒヨドリの生態がテレビ番組として紹介されることは初めてと思われます。タイトルは「ダーウィンが来た! ~街に大進出 青い鳥の謎~」とのことです。ご感想をお寄せください。

それに先立ち、9月26日の『ダーウィンが来た』の「ミニコーナー」では、東京・麹町でのイソヒヨドリのようすが紹介されるとのことです。麹町は東京でも一番の中心街のひとつ。都心部での生態はまだわかっていませんので、一つの情報としてとらえています〔都市鳥研究会・事務局〕




2021年9月8日水曜日

夏鳥・アカショウビンの東京での近況

 東京23区では渡来が途絶えていた夏鳥・アオバズクが、2年連続で繁殖したことは、“夏鳥復活か”とのやや希望もまじえて前号で紹介しましたが、先月末の8月31日、同じく激減しているカワセミの仲間の夏鳥・アカショウビン〔赤翡翠〕を、埼玉県和光市新倉6丁目で発見しました。ただし、残念なことに自動車事故死と思われる落鳥の形で【写真1・2】。 発見場所は通称「水道道路」と呼ばれる車道の歩道で、東京外環自動車道と立体交差するあたりでした。死後数日たっているようで、大きなハエが死体に止まり、下腹部には多数の蛆がわいていました。胸に黒っぽい横斑があることや全体的な色あいから今年生まれの若鳥で、渡りの途中で絶命したと思われます。合掌。  

  ところで、昨年の5月、人流の多い「JR新宿駅東口」に、サギの仲間の希少種ミゾゴイ〔溝五位〕が現れ、ネットやマスコミで紹介されていましたが、この鳥も激減いちじるしい夏鳥です。しかし、21世紀に入り、東京23区の足立区の舎人公園や世田谷区の蘆花公園、江東区の公園などで観察されることがあり、私もフィールドとしている港区の自然教育園で2017年4月に記録し、『自然教育園報告・第49号』に報告しました。ミゾゴイは「里の鳥」で、比較的身近な場所でも繁殖しているようですが、羽色・行動・鳴声などが地味で目立たないため、その生息状況はよくわかっていない鳥のひとつです。  

  一方、アカショウビンは印象的な大きな声で鳴き、姿も派手な赤色で目立つため、生息していれば必ず記録される鳥です。東京では山地部の奥多摩で少数繁殖しているようですが詳細は不明です。かつての名所・高尾山(八王子市)では、1981年を最後に繁殖期の記録が途絶えます。しかし2015・2016年の繁殖期に長期間観察されました。その年に繁殖したか否かは不明ですが、今後吉報を期待したいところです。

  アカショウビンもミゾゴイも“としちょう”とは無関係な種類の鳥と思われますが、本来の生息地に住宅や道路が迫り、環境が悪化するという都市化が激減の一端であることは間違いないことです。その復活はこれからも注視していきたいと思います。 〔川内 博〕


写真1



写真2

2021年8月18日水曜日

夏鳥・アオバズクの親子…東京23区で2年連続繁殖確認

 ここのところ、東京都内の市街地や郊外の緑地で、キビタキやサンコウチョウなどの夏鳥の声が聞かれるようになってきました。まだ手放しで喜べるような状況ではありませんが、“夏鳥復活”傾向が見られています。そんななかアオバズクがここ2年連続して、東京23区内で繁殖が記録されました。  

  アオバズク[青葉木菟]は、フクロウの仲間の夏鳥で、樹洞で営巣し、大型のガや甲虫などを主食とする猛禽類です。東京ではかつて池袋に近い、鬼子母神の並木がこの鳥の名所で、1931(昭和6)年~1972(昭和47)年の約40年、継続的な観察記録が残されていましたが、その後東京23区での営巣記録は急速に減って、1990年代には4か所程度、2000年代に入ると確実な繁殖記録は1例だけとなってしまいました。2004年からはその場所も宅地に代わり消滅し、ここ15年くらいは23区内での営巣記録は途絶えていました。

  そんな中、昨年・今年と住宅街の緑地で繁殖が見られています。写真は今年のもので、巣立ちビナが2羽確認できました【写真1】。  

 アオバズクの激減は東京23区だけでなく全国で見られ、その原因は餌となる大型の昆虫(カブトムシやクワガタ、ガなど)の減少・巣穴となる樹洞の減少・越冬地の環境悪化などが挙げられています。いろいろ検討してみると、どうやらそれらが合わさっての根の深い問題のようです。

 コロナ禍のなか、運動もかねて近場の公園を暗くなってから散歩していると、テニスコートやサッカー場では大勢の人がまだプレーを楽しんでいました。競技場の周囲には大型の照明とともに誘蛾灯が光っていました【写真2】。その明かりの周りには虫たちが飛び交い、誘蛾灯に感電したバシッ・バシッという音が聞こえていました。都会では明かりに虫が集まらないことが多く、久しぶりに見る光景でした。アオバズクの食べ物が少しは増えたのか?都市環境下での調査の楽しみがひとつ増えました。(川内 博)

写真1 母鳥と2羽の巣立ちビナ


写真2 虫たちが集まる明かり



2021年8月1日日曜日

様変わりした東京の“ドバト事情”

  街なかの鳥「ドバト」にどんなイメージをお持ちでしょうか。かつては“かわいい・愛すべき隣人・平和の象徴”とプラスイメージだったこの鳥も、近年は“気持ち悪い・糞が汚い・病原菌を媒介するのでは”などのマイナスイメージが強くなり、「ハト公害」として嫌われることが多くなりました。

  実際、東京のお寺や神社の境内、駅前の広場、街なかの小公園などから給餌する人は激減しています。かつては2000羽を数えた浅草・浅草寺の境内では、今は50羽程度しか見かけません。また、最近は、渋谷や池袋などの駅前や公園でも、20羽もいれば“いた!”と思うほどの状況です。逆に目立ちだしたのが、公園の林の下や道端の雑草の間などで「採餌」をするドバトたちです。

 公園の林床や川の土手などで餌をついばむ姿は、“野生生物”です。大きな群れでいることは少なく、数羽~10羽程度で、キジバトと混じっていることもよくあります。

 ここ数年来の夏に目につくのは、道路ののり面や土手などで、大規模な草刈り後に、群れで採餌している姿です【写真】。

 東京の市街地では、今世紀に入って、人による給餌が減っているうえに、ドバトを主食とするオオタカが増えています。かつて街を“天国”としていたドバトたちは、“野鳥”として生きていくのでしょうか。〔都市鳥研究会・川内 博〕





 

2021年7月15日木曜日

おもしろいカラスの行動2つ・東京・代々木公園

   最近オリンピックがらみで何かと話題に登場する東京・渋谷の代々木公園で、この6月にカラスに関わる2つの行動を見かけました。東京都内からはカラスの数は減っていますが、代々木公園は今も都内有数の“カラス天国”です。我が物顔に飛びまわっているのはハシブトガラスですが、以前はごく少数だったハシボソガラスも目立つようになってきました。  

  今回の主役はハシブトガラスで、1つは「なに?・これ!」というカラスのしぐさです【写真1】。この姿をみてまずイメージしたのは、写真や映像でみたことのあるアフリカのクロコサギ Egretta ardesiaca の特異の行動と、実際見たことのある「蟻浴」でした。「蟻浴」とは明らかに動きが違い、また、羽・周辺にアリの存在はありませんでした。

  そこで、日ごろ野外で鳥の観察をしている知人多数に「こんなカラスは見たことありますか?」と発信したところ、10人の方から返信があり、いずれも「見たことがない」ということでした、「蟻浴・日光浴ではないか」・「クロコサギのそれを想起する」ということが多数で、この行為自体はあまり見られていないことがわかりました。

 1回だけの観察ですので、この個体特有の「くせ」ではないかと再調査をしていたら、「なんで!?」という行動を見かけました【写真2】。“モグラの土盛りの中からコンクリートのかけらを掘り出し、咥えて別の場所に運び、上から落ち葉で完全に隠す”という行動で、コンクリート片はカラスに比べて大きく・重そうで、何のために?という疑問を持ちました。北海道でカラスを研究している会員からは「遊び」ではという示唆がありました。可能性は大だと思いますが、その動作は手慣れてスムーズなものでした。

 2つの行動について、同じような観察をされた方・なんらかの「答え」をお持ちの方・興味をお持ちの方は、都市鳥研究会あてにご連絡ください。(川内 博)


写真1


写真2

2021年7月9日金曜日

都市鳥ニュース「首都圏のイソヒヨドリの今・その1」を発行

毎年2回発行している『都市鳥ニュース』の本年1号の「№30」を発行しました。内容は、首都圏のイソヒヨドリの動向の紹介で、東京・多摩地区での状況、千葉県・神奈川県の近況で、いずれも以前に比べ、生息・繁殖の観察頻度が格段に増していることがわかります。

東京郊外の中核市「八王子市一帯」での営巣地は増加が続いていて、JR中央線・京王線などの鉄路伝いに分布を広げていると思われる状況が目立っています。また、上記以外の多摩地区でのまとまった初めての報告「多摩地域のイソヒヨドリ-東京内陸部での増加-」が掲載されています【写真】。 その生息・繁殖の広がりは線から面になっていて、近いうちに関西圏のように「準・普通種」(数は少ないが、気をつければ見られることがある)レベルになる可能性が示唆されています。

 同じ傾向は、関東でのイソヒヨドリ先進県・神奈川でも同様で、面的な広がりが報告されています。千葉県では、内陸部の目撃は2010年代に入って急激に増え、2020年代には倍増しています。

今号は12ページの予定でしたが、4ページ増やしても足りないくらいで、東京23区・埼玉県の状況は次号送りとなりました。次の発行は12月の予定です。  『都市鳥ニュース』は当会の広報誌となっていますので、入手をご希望の方にはPDF版をメールでお贈りしています。お申し込みは下記へお願いします。〔事務局〕 

Email:hkawachi2dream@yahoo.co.jp


アンテナにとまるイソヒヨドリの雄(鈴木遼太郎氏撮影)

2021年6月16日水曜日

千葉県柏駅周辺のイソヒヨドリ

 自宅の最寄り駅である千葉県柏駅の周辺には買い物のために毎日のように出かけます。駅周辺はハクセキレイの塒やチョウゲンボウが営巣場所があり、都市鳥研究にはなかなか興味深いフィールドです。

その場所でイソヒヨドリを初めて確認したのは、2012年11月12日のこと。このときは囀りだけの確認でしたが、ついに近所にもイソヒヨドリがあらわれたかと感激したのを覚えています。しかし、翌年は確認できずにガッカリ。翌2014年秋には再び確認できましたが、分散途中の個体が立ち寄っただけで、それから数年間は同じ状況でした。

ところが2019年には3月から頻繁にイソヒヨドリを目撃するようになり、6月3日にはついに営巣箇所の確認に成功。さらに2020年には2カ所で営巣を確認し、今年もまったく同じ場所で繁殖していることを確認しました。興味深いことにどちらも、ビルの壁面に設置されている換気扇に巣があり、重要な営巣環境を換気扇が提供しているのではと思われました。

イソヒヨドリの観察では3つの難しいことがあります。1つは観察を行うタイミングです。大きな声で囀るので確認は簡単そうに思われますが、長い期間四六時中囀っているわけではないので、上手いタイミングで調査をしないと見つけられない事があります。日常的に通う場所であれば、うまく囀りのピークに出会えるので見つけられますが、そうでない場合は見落としもありそうです。

2つ目は、営巣場所の特定です。街中にいるのであまり警戒心がないと思われがちですが、イソヒヨドリは思ったよりも警戒心が強く、なかなか巣の場所を教えてくれません。車の中で警戒されないようにするか、あまり注目しないようにさりげなく観察するコツが必要です。また、強く警戒しているときは囀りながら翼を持ち上げるので、こんな時は「ごめんごめん」と言いながら退散します。深い追いをして繁殖に悪影響を与えてしまっては元も子もないですから。

3つ目は巣立ちの確認です。じつは柏駅周辺の2カ所の巣では、巣立ちを確認していません。ある日、突然、巣からヒナの声が聞こえなくなるので、巣立ちとしますが、巣立ちビナの確認ができていないのです。これは頻繁に通うほか方法がないので、来年は可能性のある時期を重点的に確認したいと考えています。(柴田佳秀)

この換気扇の中に巣がある


パンくずをくわえているメス


強く警戒するポーズ



2021年6月3日木曜日

和光市・イソヒヨドリの繁殖2例目・発見記

  当会の事務局のある埼玉県和光市は東京23区に隣接しているため、東京の“出ベソ”のような施設がいくつかあります。そのひとつが「東京メトロ」の車庫、また6年前には「東京北部郵便局」というものが、越戸川沿いの畑地につくられました。これは、ネット通販などの普及に伴って物量が多くなったため、ゆうパック事業の業務を効率化するための施設です。6階建て(見た目には4階建て)の巨大な建物で、大型のトラックが四六時中出入りしていて、2年前その屋上の縁で囀っているのを確認していました。その後、この場所は“要チェック地”として、荒川支流の越戸川、新河岸川の調査の際には囀りが聞こえないかと注意をしていました。しかし、その後はまったく出会えませんでした。

  

  5月20日の早朝、カワセミの営巣地を探しに越戸川で観察していると、“この鳥は何ですか?”と声をかけられました。スマホに映っているのは雄のイソヒヨドリ【写真1・トリミング拡大】。遊歩道の手すりに止まっていたとのこと。1週間後の5月28日早朝、イソヒヨドリの撮影者の星野さんに再び出会ったあと、その発見場所に行ったら、今度は雌が手すりに止まって採餌をしていました【写真2】。驚かせないように、慎重に追っていくと、ついに餌をくわえて東の方向に飛び去りました。その方向には東京北部郵便局が。餌をくちばしにした雌親は、警戒しながらもついに、3階の作業場の天井の鉄骨の上に入っていきました。持ってくる獲物はアオムシ・ムカデ・カナヘビなどさまざまです【写真3】。

  

 2年前に和光市駅南のイトーヨーカドーの駐車場で巣立ちビナを発見(本ブログ・2019年7月22日付け参照)して以来、和光市では2例目の繁殖記録となりました。その後のようすも含め、詳細は、当会広報誌『都市鳥ニュース・№30』(6月発行予定)に掲載します。『都市鳥ニュース』はPDFで、会員にメールで送られます。興味ある方は、当会HP「入会案内」をごらんください。〔都市鳥研究会・事務局・川内〕


写真1 越戸川畔で撮られたイソヒヨドリの雄・星野裕司氏撮影


写真2 同じ場所で雌も発見・川内撮影


写真3 営巣地の東京北部郵便局前の電柱にて・川内撮影