2023年8月18日金曜日

キジバトはアレチウリの“天敵”

 アレチウリは北アメリカ原産ウリ科の一年生草本で、生育速度が非常に速いつる性植物で1株当たり400~500個の種子をつけますが、25,000個以上との報告もあります。種子には休眠性があるので土壌シードバンクを形成し、全国の河川敷等で大繁茂し在来種が影響を受け一部では他の植物がほとんど生育できなくなっている場所もあり、特定外来生物に指定されています(環境省)。鳥類への影響も出ており、東京でも多摩川などのツバメのねぐら場所であるヨシ原にアレチウリが大繁茂し、ツバメがねぐらをとれなくなる例も増えており、関係団体がヨシ原保全のために駆除作業を行っています。  

 アレチウリは外来種なので、今のところ有力な“天敵”見つかっていませんでした。2021年10月11日、水元公園(東京都葛飾区)の水辺ゾーンに繁茂するアレチウリの果実を、地上で2羽のキジバトが盛んに突いているのを目撃しました。近づいて観察すると枯れた果実の中から種子を出して盛んに食べていました。【写真】 人が近づくまでの約8分で20~30個の種子を食べていたと思われます。今までアレチウリの実を食べる動物は見つかっていませんでしたので、キジバトは有力な“天敵”であることがわかりました。〔越川重治〕




2023年8月3日木曜日

ムクドリを数えてみました

 千葉県柏市のつくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅前には、2005年の開業からしばらくして、とつぜんムクドリの大規模なねぐらができて問題になっています。

ここはビルに囲まれるように駅前ロータリーにケヤキなどの樹木が植栽してあり、ムクドリがねぐらをつくる良い条件が整っています。ねぐらに集まるのは非繁殖個体で、繁殖期が終わる7月はじめには、その年に生まれた幼鳥も群れに加入して、個体数が多くなります。そして、夏から秋にかけてが最大規模になります。

柏の葉キャンパス駅前のケヤキ

先日7月4日、私はここにどのくらいの数の鳥が集まってくるのだろうと思い、調査してみました。ムクドリは日没寸前になると次から次へと群れが飛来し、めまぐるしく出入りするので正確な個体数を知るのはかなり難しいことです。そこで、大きな群れが1枚の写真に写るように撮影し、家に帰ってからパソコンで拡大しながら、1羽1羽印をつけカウントを試みました。写真を拡大して見ると鳥は意外と重なっておらず、かなり正確に数えることができそうです。その結果、4,518羽が写っていました。この写真には写っていない個体もいるので、おそらくこのときは約5,000羽がいると推定されました。

カウントした写真。4,518羽が写っていました

調査をしていて感じたのは、鳴き声による騒音もかなりの音量であり、また糞の臭いもかなりのもので、これはやはりなんらかの対策をしなくてはいけないなということです。

この場所では過去に、猛禽類の声や鳥が嫌がる音を流したり、さまざまな対策が講じられたそうですが、未だに解決には至っていません。また、天敵である猛禽類が駅前にはいないから、ねぐらができるという説がありますが、興味深いことにこのムクドリを狙ってハヤブサが飛来して捕食することがあり、どうも天敵説はあてはまらないように感じています。いったい何がムクドリを引きつけているのか、さらに調べる必要がありそうです。(柴田佳秀)

飛来するハヤブサ



2023年7月18日火曜日

マンション団地でのツミの繁殖

今年の6月初め、団地のテニスコート上空を鳴きながら飛びまわる2羽のツミを発見。場所は東京のベットタウン・埼玉県和光市の駅から5分程度のマンション団地のなか。計画的に建設されたため、高層の建物が11棟も林立する環境ですが、緑が多く図書館などもあり、各所に「広場」が点在しています。

ここでのツミの繁殖は今回が初めてではなく、5年前の2018(平成30)年7月に、同じ団地内で若鳥を見かけました。その時は巣を発見できませんでしたが、今回は抱卵・育雛・巣立ちを観察でき、巣立ちした3羽の若鳥の食事姿もとらえることができました【写真上】。営巣場所はテニスコートに隣接したジャングルジムなどを備えた子供たちの広場。巣はケヤキの高さ8メートルあたりに枝を積み重ねて造っていました。

地面から1か所だけ巣が見えるポイントがあり、その姿を望遠レンズで撮影し、状況を記録しました。大勢の人が住む団地ですので、双眼鏡や望遠鏡での長時間の“覗き”は自主規制。そのため繁殖生態はくわしくは観察できませんでした。周辺では連日オナガの群れが大騒ぎ。7月上旬に無事巣立ち。そのタイミングを計ったかのように、広場の片隅にはマンションの大規模改修のための資材置き場が建設されました【写真下】。〔川内博・桂子〕







2023年7月3日月曜日

『都市鳥ニュース』№34を発行しました

当会の広報誌『都市鳥ニュース』の最新号・№34を6月30日付で発行しました。特集は「都市のカラスたちの今・2」。興味深い記事は、前号で紹介した「春先の高病原性鳥インフルエンザ発生と市内のカラスの減少傾向について」の話から発展した、死因解明のための“クラウドファンディング初挑戦”の話で、当初の目標額の「70万円」を大きく上回る「200万円」に達したとの報告。“意義”と“やる気”があれば、資金面では世の中が味方してくれる事例として、参考になる情報です。【写真上・路上に放置されていたカラスの死体】

また、関東圏ではまだ珍しい“千羽烏(せんばがらす)”の異名をもつミヤマガラスの群れ【写真下】の観察報告は、興味ある人にとっては貴重な情報だと思います。さらに、「カラスの人工巣」の話は、社会問題となっている送電鉄塔への針金ハンガーなどによる営巣に対しての対策の一つとして、被害のない場所に人工巣を設置して、営巣を誘導する対策のようすなどが紹介されています。いずれも“都市鳥研究会”ならではの記事と自負しています。

さらに、「お知らせ」のなかの小さい記事ですが、“バックナンバーの貸出”の紹介が載っています。研究会誌『URBAN BIRDS』は、昨年通巻80号を発行していますが、そのうち通巻23号(1987年発行)~80号(2022年発行)までの冊子をA会員(有料会員)に“貸出す”という案内です。年会費2500円ですので、興味ある方はご一考ください。なお、『都市鳥ニュース』はPDF版で、B会員(年会費無料)や希望の方にはメールで贈っています。問合せ等はメールにてお願いします。≪写真:事務局提供≫  〔都市鳥研究会・事務局〕







2023年6月15日木曜日

身近な場所で採餌するイソヒヨドリ

当会は「内陸部に進出するイソヒヨドリ」の生態とその進出の理由を調べていますが、なかなか明確な説明ができないのが実情です。その理由のひとつはその姿を見かける場所と食べ物があまりにも“ふつう”で、“こんな環境ならどこにでもあるのでは”・“そんな餌で育つならどこででも得られるのでは”ということです。  

東京・墨田区は、荒川と隅田川に挟まれた下町で、昔から緑の少ない地域です。JR総武線・錦糸町駅のすぐそばで、スカイツリーが間近に見える「区立錦糸公園」は、300m×200m程度の四角い園内に、幼児たちの遊具や芝生の広場、野球場・テニスコート・総合体育館などが組み込まれていて、休日には、子供連れや若者のグループ、お年寄たちでいっぱいです。

その北面には道路を隔ててショッピングモール【写真・上】が建ち並び、昨年・今年と繁殖期にその屋上でイソヒヨドリ夫婦を確認しました。そしてこの5月には、観察している足元の下草のなかで採餌する雄の姿を目にしました【写真・下】。屋上には雌の姿や声が確認でき、その様子からヒナが誕生していると思われました。

街なかで、この鳥のようすを見ていつも思うことは、それは“どこにでもある街なかの環境で、その餌は身近な小動物や果実だ”ということです。この鳥が日本では古くから「岩礁地帯にへばりついて」生きてきたということを知っているためか、内陸部に進出している実態を見ると、その変貌にはまだ腑に落ちない気持ちがわいてきます。〔都市鳥研究会・川内〕









2023年5月28日日曜日

柏の葉スマートシティの鳥がおもしろい

2005年に開業した東京・秋葉原から茨城・つくば市を結ぶ鉄道のつくばエクスプレス。そのちょうど中間くらいに位置する千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅の周辺は、元は広大なゴルフ場を開発し新たにつくられた街です。タワーマンションが建ち並び、大型商業施設や大学など、公・民・学が共同して街づくりに取り組む先進的な街で、柏の葉スマートシティとして注目されている場所でもあります。

その先進的な街である柏の葉。いっけん鳥とは無縁とも思える環境ですが、街が誕生すると思いがけない鳥たちが暮らし始め、目が離せない場所となっています。

たとえば駅前ロータリにある街路樹。ここにムクドリやスズメのねぐらができました。そのムクドリたちを狙って、今度はハヤブサが現れるようになりました。ときどきタワーマンションの壁に止まって、ねぐらに入る鳥たちを狙っています。

つくばエクスプレスの高架下にはイワツバメが営巣しています。そのイワツバメが営巣をはじめ、しばらくしたら今度はヒメアマツバメが現れ、イワツバメの巣を乗っ取りました。そのすぐ側の大型書店の軒にはツバメが複数営巣しています。オープンテラスでコーヒーを飲みながら3種のツバメ類(ヒメアマツバメは厳密にはツバメ類ではありませんが)を観察できる場所は他にはあまりないように思えます。

都市進出して久しいイソヒヨドリも、柏の葉には複数が繁殖しています。おそらくこの地域では一番最初に定着した場所で、一年中姿を見ることができる上、オープンテラスにいるとエサをねだりに来ることも。

人の暮らしやすさを追求した街が、都市鳥の格好の生息地となる。なかなかおもしろい場所としてこれからも観察を続けていくつもりです。(柴田佳秀)

柏の葉スマートシティ


タワーマンションにいたハヤブサ

2023年5月14日日曜日

ミゾゴイの飛来とオオタカの子育てライブ・東京・港区・自然教育園の近況

 東京都心部には、皇居をはじめ、明治神宮、新宿御苑など10以上の緑島(りょくとう)が点在しています。JR目黒駅から近い自然教育園もそのひとつ。縄文中期からの歴史を誇る園内には池や湿地もあり、かつては都心部での「カワセミの繁殖地」として知られていたところです。

4月29日の夕方、閉園後の巡回をしていた職員の方が撮られた写真が送られてきてきました。夏鳥のミゾゴイ(溝五位)【写真上】で、園内では2014年12月に目撃されたのが初記録で、2017年4月には撮影もされています。今回は久しぶりの観察でその後の続報も期待したのですが、翌日来園者からの情報もなく、一夜限りだったようです。

緑島での観察は文京区の小石川植物園でもあり、2018年5月・2019年4月に記録されています。ミゾゴイは近年減少がいちじるしく、環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」、世界的にもIUCN(国際自然保護連合)で「絶滅危惧種」に指定されています。

この自然教育園では、6年前から園内でオオタカが繁殖していて、そのようすは巣の上に取りつけられたカメラで撮られ、園内の施設で見ることができます【写真下】。かつてはカワセミの子育てのライブも放映されていましたが、ここ数年来はオオタカの子育てライブが続いています。ただ“ライブ”(生中継)ですので、興味あるシーンを見るには、じっと待たなければなりませんので、時間がない方は隣のテレビでの昨年の子育てのようすのダイジェスト版をどうぞ。5月初めに孵った4羽のヒナは真っ白でまだ小さく、放映は1か月程度続く予定とのことです。〔都市鳥研究会〕

ミゾゴイ


園内のライブ映像モニター

2023年4月24日月曜日

シジュウカラが減った? 自然教育園での10年ぶりの調査

東京都心・港区にある「自然教育園」は、かつてはJR山手線・目黒駅が最寄りであったためか、所在地は目黒区と思われることが多かったのですが、近くに地下鉄の白金台駅ができたことや隣に「庭園美術館」という人気のスポットができたためか、間違えられることが少なくなったようです。

この地は縄文中期(約2500年前)の土器や貝塚が発見され、室町時代には豪族が館を構えたという長い歴史を持つ場所で、その後も持ち主は変遷しましたが、1949(昭和24)年に文部省の所管となり、「国立自然教育園」として一般に公開されるようになっています。

一帯は照葉樹を主体とした森で、空から見ると、コンクリートの海に浮かぶ“緑の島”のように見え、「緑島」(りょくとう)のひとつとされています。園内では自然に関するさまざまな研究がされていて、野生鳥類の調査も連綿と続けられています。

4月上・中旬に、1961(昭和36)年から続けられている「シジュウカラのテリトリーマッピング調査」を10年ぶりに実施しました【写真:囀るシジュウカラ、図:なわばりの変化・自然教育園ガイドブック・2014年刊より】 今回の調査は、時期・方法・調査者とも前回(2013年)と同じですので、同一条件でなわばりの数を比較することができます。

調査は終わったばかりですが、前回と大きく違うことが2点ありました。一つはヤマガラの進入が定着化していること、もう一つはシジュウカラの囀りが少なかったことです。結果の整理・分析等はこれからですが、同じような調査をされている方、興味をお持ちの方はご連絡をください。〔都市鳥研究会・川内 博〕








2023年3月10日金曜日

埼玉県越谷市でのカラス集団塒の個体数調査(第16回)の報告

 昨年12月10日(土)の午後3時~5時に、越谷市伊豆久神社周辺〔A地点〕で、24名の参加者をえて、塒(ねぐら)入りするカラスの数を調べました。【地図】ここでの調査はコロナ禍の影響で4年ぶり。認めた種類はハシボソガラス・ハシブトガラス・ミヤマガラス・コクマルガラスの4種で総数は3039羽。前回2018年の5755羽と比べると半減といったところでした〔前回までの調査の概要は2023年1月24日付の本ブログをご覧ください〕。 激減の原因としては、ねぐらの中心部の大木5本が、ナラ枯れにより伐採されたこと、ねぐら地が分散し、第二の集団塒〔B地点〕が形成されたことなどが考えられます。

  第二の集団塒地・B地点は、久伊豆神社の東、約2.5kmにある「いきいき館」の林で、今年の1月11日には1109羽以上を数えました。種構成は上記と同じ4種。このねぐらについては、いきいき館および隣接する越谷市民球場の職員の話では、2022年の秋ごろから集まってくるようになったとのことです。また、このB地点は、吉川市方面から飛来するミヤマガラス(コクマルガラスも含む)の就塒コース上で、今年の1月8日以降の観察では吉川市方面から飛来する4種のカラスはほとんどがここに降りていました。

 なお、これまでの観察経験から、ハシブトガラスの個体数は全体の2割程度かそれ以下で、ミヤマガラスの方がやや多いと推定しています。この傾向はA・B地点とも同様で、ハシボソガラスについては、ミヤマガラスが確認されていない2011年以前と比べるとやや減少傾向がみられました。  

 地図のC地点は、ミヤマガラス(コクマルガラスを含む)が昼間活動する地域のひとつで、昨年12月19日にはミヤマガラス462羽、コクマルガラス29羽を観察しました。ここでの個体数は、2018年時に比べ減少傾向でした。なお、地図のD地点では、今年の1月9日にミヤマガラス61羽、コクマルガラスを10羽観察しました。〔山部直喜〕





2023年2月18日土曜日

都市鳥研究会の研究誌『URBAN BIRDS』Vol.39(通巻第80号)から“東京のウミネコ” の話題を紹介

年1回発行している研究誌、『URBAN BIRDS』Vol.39を発行しました。その内容を知るには当会ホームページのコンテンツから「会誌URBAN BIRDS」のボタンをクリックしてください。目次がアップされています。なお、本誌の発行は冊子で発行のみで、電子版はありません。

そのなかから、世界的にも問題となっている“都市に棲みついたカモメ”の日本版・“東京都心でのウミネコの近況”を紹介します。

「東京都心のビル街で営巣するウミネコ-最近の動向と隅田川の果たす役割-」当会会員の松丸一郎・平田 誠氏の共著。その論文の小見出しは次の通りです。

1.東京都内におけるウミネコの営巣・繁殖の動向

2.隅田川が都心で営巣・繁殖するウミネコに果たす役割

2-1 営巣開始前-ねぐらからビル街(営巣候補地探し)への移動経路としての役割

2-2営巣後の繁殖期-食餌の調達場所そのもの、かつ調達場所への経由地としての役割

2-3幼鳥の巣立ち後-都心を離れるまでの間,幼鳥の集合地・訓練場所としての役割

2-4隅田川でのウミネコ出現時刻のパターンが2021年と2022年でなぜ違っているのか

3.ビル街で営巣するウミネコに対する自治体の対応-東京都が「第13次東京都鳥獣保護管理事業計画」を策定-

4.海外における都市部でのカモメ類の営巣に対する取り組み

5.終わりに

東京での鳥類による環境問題はかつて「カラス」がよく知られていました。市街地でカラスが急増した原因のひとつに、家庭や飲食店などから出された生ごみ類が路上に放置状態だったためということがあり、その後対策がなされ、今ではほとんど話題になっていません。

しかし、この「ウミネコ」問題は、カラスのような“兵糧攻め”が効かないパターンです。繁殖期のウミネコの餌場は河川や海で、主にヒナの生育に必要な魚類を捕獲しています。繁殖はふだん人が立ち入らない建物の屋上での営巣、さらに、「鳥獣保護法」で守られ、自治体による「予察捕獲」の試みも2022年に開始したばかりで、影響は今後を見る必要があります。“都市鳥・ウミネコ”読み応えのある内容となっています。〔都市鳥研究会事務局〕

 

2023年1月24日火曜日

埼玉県越谷市のミヤマガラス・コクマルガラス

   当会の研究誌『URBAN BIRDS』Vol.38号(2021年刊)の巻頭言執筆者の山部直喜氏から、埼玉県越谷市での「カラスの集団塒の個体数調査」実施の知らせがありました。越谷市は県の南東部に位置する人口34万人の中核市で、天然記念物「越ケ谷のシラコバト」としても知られている町です。

  この地では,2001年から市内の「武蔵国越谷郷・久伊豆神社」を中心に、毎冬カラスの集団塒の個体数調査が実施されていて、2018年までに15回を数えています(2014年からは隔年に変更)。これまでの調査によれば、最少3,607羽(2007年)~最大6,791羽(2013年)をカウントしたとのことです。

    コロナ禍のため延期していた調査をこの冬実施したところ、全体的には明らかな「減少」がみられたとの速報が山部氏から寄せられました。詳しくは分析中とのことで正式な発表を待ちたいと思いますが、興味あるのはその種構成で、ハシブトガラス・ハシボソガラスに加えて、ミヤマガラスとコクマルガラスの4種とのこと。ミヤマガラスは2012年に200羽が加わり、コクマルガラスはその翌年から仲間入りをしたとのこと。最近はミヤマガラスの増加が著しいとのことです。【写真:久伊豆神社のミヤマガラス(上)・コクマルガラス(下)川内博氏撮影】

  この冬、ミヤマガラスが、これまで「未記録地」だった東京にも現れたとの第一報が寄せられています。今後、ハシブトガラスの天下だった東京にも“新しい風”が吹くのか、興味あるところです。〔都市鳥研究会事務局〕




ミヤマガラス

コクマルガラス

2022年12月24日土曜日

『都市鳥ニュース』カラス特集号を発行しました

当会の広報誌『都市鳥ニュース』№33を発行しました。今号は日本の代表的な4都市からの“カラスの話題”という内容です。  

札幌からは「春先の高病原性鳥インフルエンザ発生と市内のカラスの減少傾向について」、大阪からは「大阪市のカラス2種の変遷」、名古屋からは「名古屋市におけるカラス2種の分布と個体数変化」、東京からは「お尋ね・「カラス捕獲小屋」での興味あるお話・・・東京発」ということで、街中のカラスのようすが紹介されています。

日本で街のカラスというとハシブトガラス【写真上】とハシボソガラス【写真下】。どちらも真っ黒で似た体形。遠目にはその違いは判らないくらい似ていますが、両種を漢字で書くと「嘴太烏」と「嘴細烏」ということで嘴の違いがポイント。

鳥にとって「嘴の違い」は重要なことで、この2種は好む食物の種類や棲む場所・環境などが少し違います。ただどちらも強力な雑食性でです、日本中で繁栄しています。  

今回の特集は、会員に“街のカラス”についてということで原稿を依頼したものですが、それぞれ違った切り口になっているのが興味深いところです。この鳥の“間口の広さ”の一端を知ることができます。

『都市鳥ニュース』は、会員以外の方にもそのPDFをメールでお贈りしています。カラスに限らず、“街なかの鳥”に関心をお持ちの方は下記〔※〕にご連絡ください.

※e-mail:hkawachi2dream@yahoo.co.jp 都市鳥研究会(としちょうけんきゅうかい) 

ハシブトガラス

ハシボソガラス


2022年12月9日金曜日

カラス死因解明のためのクラウドファンディングのお願い NPO法人札幌カラス研究会

これまでもNPO法人札幌カラス研究会では、カラスの死因解明を行ってきましたが、資金が非常に厳しい状況にあり、 死因解明を継続するためにプロジェクトを立ち上げました。

カラスの死因は、鳥インフルエンザが陰性だとわかると、それ以降は行政では一切検査が行われていません。しかし、それだと大量死が発生した場合に不安によるパニックや、発見場所への風評が飛び交います。

鳥インフルエンザでニワトリなどが感染してしまうと、経済的なダメージが大きいですが、カラスなどの野鳥が感染した場合だと、経済的には困らないので、行政では死因を解明するまでには至りません。(鳥インフルエンザは感染源に濃厚な接触がない限り人には感染しませんが、野鳥間での感染は起こります)

カラスや野鳥への理解を深めて、死因を解明してより身近な存在になってもらえたらと考えています。死因のデータがあると不必要にパニックになることもなく、対応もしやすくなると考えています。また、カラスの死因は実に様々で、年齢や季節により変動も見られます。死骸はゴミになるのが一般的ですが、死因を解明してその個体の死を無駄にしないで済みます。

過去のスズメ大量死がもたらした不安や風評被害は、カラスだとよりひどい状態になりかねません。死因をデータ化することにより、鳥インフルエンザ以外でも大量死などが判明しやすくなります。それに伴い人との関わり、野生動物との付き合い方や距離も見えてきますし、学術研究にも貢献することになります。

一人でも多くの方に共感いただければ幸いです。プロジェクトは、2022/12/7~2023/1/26までです。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

NPO法人札幌カラス研究会代表理事 中村眞樹子

詳細はこちら https://bit.ly/3iAEx2v






                                                                 



2022年11月22日火曜日

“水辺の宝石”カワセミの近況・1

   “水辺の宝石”といえばいわずと知れた「カワセミ」のこと。【写真1・港区内の緑地で】 漢字で「翡翠」と書くこの鳥は、1970年代には東京都心では二度と見られないだろうといわれました。日本が経済の高度成長を遂げ、さまざまな「公害」が社会問題となり、「自然保護・環境保全」が叫ばれた時代です。東京のカワセミはその後急速に復活し、1990年代には都心部の水辺でも繁殖するようになりました。そして今では首都圏の水場では、冬場に半日もいれば出会える“準普通種”となっています。

  11月半ばの3日間、東京都心の港区から渋谷区・練馬区・清瀬市、それに続く埼玉県南部の朝霞市・所沢市へ出かける用事があり、ついでに各地の水辺を探索してみました。行く先々でブルーの輝きに出会え、なかにはペアでというところもありました。

  町中からのカワセミの「後退」から「復活」への事例は、東京だけでなく、日本各地でみられています。とくに秋から冬にかけては出会える頻度が高く、大きな望遠レンズを携えた人が、複数で水辺にたむろしていればほとんどがカワセミ狙い。そのそばでしばし待っているとカワセミに出会えること間違いなし。

  しかし“準普通種”といえるほどの生息状況は冬季のことで、繁殖期になると彼らの至難は続いています。子育てのための巣穴を掘る場所がないためです。本来は土の崖地に横穴を掘り巣とする鳥ですので、都会地には適地がないのが現状。以前から繁殖用の人工崖地が各地に造られ結構利用しています。また最近は川沿いのコンクリート土手の水抜き穴を利用する例も増えています。

  「人工物を利用する」という点で、カワセミは立派な「都市鳥」。今回ペアでいた場所は都内の典型的な住宅地。これからその動向を追っていく予定です。【写真2・練馬区内の川辺で】〔川内 博〕

写真1


写真2

2022年11月1日火曜日

千葉県・柏駅周辺のハクセキレイのねぐら

JR常磐線の柏駅は千葉県柏市にあり、1日の平均乗降者数25万人。JR東日本の各駅停車駅の駅別乗降者数ランキングでは27位の大きな駅です。その駅の東西には百貨店や商店が並ぶ繁華街があり、その道路にはマテバシイなどの街路樹が植えられ、ハクセキレイのねぐらがあります。

柏駅前のハクセキレイのねぐらは1981年から確認されていて、最大1200羽ほどがねぐらをとっていたと記録があります。その当時のねぐらは銀行のビルにあり、窓枠にずらっと丸見え状態で並んでいたといいます。その後、銀行ビルは駅前開発によって姿を消してしまいましたが、ハクセキレイのねぐらは消滅せずに現在は街路樹に移って健在です。

興味深いのは、普通、繁華街にあるハクセキレイのねぐらは、秋から冬にかけて作られることが多いのですが、ここでは一年中存在することです。それは銀行にねぐらがあった時代から変わっていないようで、当地がよほど良い条件のねぐらであることがうかがい知れます。

当然のことながら地元ではあまり歓迎されていないようで、追い払うためか、ときどき街路樹が強剪定されます。しかし、東口が剪定されれば西口へ、西口が剪定されれば東口へと移動するため、ねぐらが消滅することはありません。手の届くような高さの枝にとまって寝ているのですが、ほとんど気がつく人がいないので問題ないようです。ただ、ねぐら入りのときは大騒ぎで乱舞するので、そのときばかりは何事かと歩みを止めて見入る人の姿があります。

1年を通してねぐらは街路樹にありますが、厳冬期になるとパチンコ屋のビルの上にもねぐらが広がります。この場所でのカウントでは最大400羽を数えていますので、厳冬期に個体数が増えると街路樹だけでは収容能力が足らなくなり、はみ出すのではないかと考えています。今後、このねぐらがどのように変化するのか注意深く観察を続けるつもりです。(柴田佳秀)

ハクセキレイが寝る街路樹。高さは低い。

マテバシイの枝にとまって眠る

厳冬期はビルのアンテナや電線も利用する